この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
木之花ノ夜想曲~夢語り~
第12章 "鏡"


…そう言い、その女官は優雅に顔を上げる…


(・・・!!!!!!)


瑠衣はその顔に驚き暫くその場に固まって動けない…
女官は瑠衣が動かないのを不思議に思い声を掛けて来た。

「どうかなされましたか?」

はっと我にかえる瑠衣。

「…いえ、何でもありません……
案内をお願いします…」

「はい、勿論心得ております」

女官は前を歩き出す…
瑠衣は俯いたまま後に続き、広い表宮の中を歩き出した。


暫く長い廊下を歩るいていると、表宮と奥宮の中間辺りで女官の足は止まった。

「橘様、此方でお着替えをして頂きます…
この間は急な事故その様な暇は無かったのでしょうが、今日はその様な無粋な姿で主上に合わせる訳には参りません」

「…分かりました
しかし自分は男物しか着ませんよ?」

「それも主上から承っております」

二人は廊下伝いに数多くある部屋の一室の中に入って行く。


「お召し物は此方にご用意しております」

「申し訳ないですが、一人で着替えられますので…」

相変わらず瑠衣は下を向き、相手の女官を見ようともしない…

「…分かりました、
着替え終わったらお呼び下さい」

女官は静かに部屋から出て行った。


「・・・・・・・・・・」

下を向いている瑠衣、その唇は血が滲む程噛みしめている。


(…今更…)


嫌な考えを振り切り、のろのろと目の前にある着替えに手を伸ばす…
そこには本当に男物の一族独特の服が置いてあった。

白地に薄い紅色の刺繍が入った上着、下履きは同じ薄い白地と紅色で統一してある(基本的に清時代の中華服みたいな感じを連想して見て下さい)靴まで白一色にしてあるのだ。

「誰が選んだのか、随分手が込んでるな…」

一族の服の中でも最上級に入る一品である
瑠衣は着流しを脱ぎ捨て、与えられた服を身に付けだす‥
勿論着方なんか嫌と言う殆ど知っている…

着替え終わり朱桜刀を腰の後ろに差し、脇差しは腰の刀紐に括りつけ…
本来は朱桜刀一本が正式だが、総司から借りている脇差しなので置いて行くわけにもいかない…
だから脇差しは腰に差す事にした。

「髪は…
まぁこのままで良いか…」

相変わらず高い位置で一本に結ったまま…
そして嫌々ながらも外の女官に声を掛けた。

「では参りましょう」

部屋を出た瑠衣はまた広い表宮を歩き始めた。
/735ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ