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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第12章 "鏡"
「あぁ…
鏡に写る赤い線の中心が己が居る場所、其処から八方を捜索出来る」
自分を中心にぐるっと八方(360°)捜索出来る、そう当代様は言う。
「だが、捜索の距離まではまだ分かっておらん、なるべく広範囲を前提に作らせたが、まだ自分と光の距離感も曖昧だ」
「それを新撰組で試せと仰りたいのですね」
「…そうだ」
実働している自分達ならば鏡を使用した実験結果も早く出るだろう、流石に当代様は抜け目がない…。
「…分かりました、お預かりします」
自分の手に持っていた鏡を箱にしまい蓋をした。
「…そう言えば‥土方からの預かり物です」
瑠衣は懐から袋を取り出し、当代様に差し出す…
此が本来の用事だった筈、翠蓮や鏡の事ですっかり後回しになってしまったが……
当代様はそれを受け取りほぅと此方を見る。
「上手くやっているようだの」
そう、持って来た袋の中には"鬼"の水晶が入っている…
袋自体にも術が織り込んであり、中の水晶が共鳴するのを防いでいる。
水晶は放置してると、また力を得"鬼"へと変わる…
だから退治した後はこの袋に入れ定期的に外宮に持ち込み、当代様の結界で守れた保管場所に置かれる事になる
そうする事で鬼"の拡大を防いでいるのだ。
「ちゃんと仕事はしておりますが?」
それも見越して自分を新撰組に入れたんだろうに…
「そう尖るな…
それにしても今までの数倍の成果だな…」
「実働隊と捜索隊を替えましたので、闇雲にやってた時よりは効率が上っていますね」
今実働は"鬼"の心の臓が見える総司と瑠衣、捜索は実力のある忍であり監察方の山崎と島田だ。
常に三人ないし四人で動き、的確に"鬼"を見つけ退治する…
この方法なら効率も数段上がる訳である。
「これで…
"鬼"の心の臓が見える者が増えれば、もっと効率が上がるのですがね」
見える可能性があるのは二つ‥
一つは瑠衣のように力を持つ者、もう一つは総司のように力を持つ物を媒体にし映し出す事
どちらもそう簡単には見つからない…
前者は才能、後者はその物に認められなければ話にならないからだ。
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