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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第12章 "鏡"


要するに力ある品を見つけても、使用できる者が居ないと無駄な訳である…
その様な品は大概いわく付きが多く、物に心を取り込まれ発狂してしまう事が大多数だ、総司の例は本当に稀なのである。

「新撰組内の実働が少な過ぎるか…」

さしもの当代様も実働の少なさに思案顔…

例え一族であっても見えない者も居る…
純粋に才能なのだ…
勿論神である四神は皆簡単に見える。

「今一族でも見える者はそんなに多くは無い、それに見える者達は大概重要な役職に付いて離す訳にもいかぬ」

見えると言う事はそれ相応の力を持つ者、それは一族にとって重要な役割を担っている事が多い、いくら当代様でも簡単には一族を動かせない。

「それは理解しております
力ある物と言う線もおそらくは無理でしょう」

「暫くは現状のままになる、余計な手間になると思うがな…」

「いえ…」

仕方がない事もある、日本中捜すならともかく新撰組と言う組織の中で捜すとなれば、見つかる確率は限り無く少ない。

「兎に角もう少し対策は考えて見る、あまり期待は出来ぬぞ…」

「…承知しました」

頂いた箱を風呂敷に丁寧に包む‥こういう所はきちんと日本の文化を守っていたりする一族の不思議…



「所で‥歪みの方はどうだ?」

歪み‥沖田総司の事だろう……

「少しずつは、一気には力を使えませんので…
ですが多分…後は時間の問題かと思います…」

総司の体に入った瑠璃の血、労咳を引き起こす病原菌…
毎日力を分けているお陰で、もう殆ど無くなって来た。


(このまま知られる事無く終わらせたいな…)


瑠衣には気掛かりな事が一つある‥不安が的中しなければいいが…

「その後の歴史に歪みが出るのか??」

「それは自分でも分かりかねます、もし歪みが出たならば正すまでです」

現代の歴史でも沖田総司は労咳で亡くなった事になっている…
だが労咳が発病しなく、このまま一番隊隊長として最後まで過ごせば必ず歪みは出て来る。

死なぬ筈の人間が死に、死ぬ筈の人間が生きてたりしてしまう可能性がある…
一度現代に戻り、水鏡で正確な歴史を見ない限り自分でも小さな歪みは分からない…。

「…そなたが手を出した事、そなたしか解決できぬ」

「…はい」

歴史を正した事によって後々狂いが出る歪み、それを修正するのは正した者が行うのが掟…
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