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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第12章 "鏡"
瑠衣の説明を真面目に聞く土方、一通り説明が終わりやっと重々しく口を開いた。
「…つまり、俺達で試せって言いてぇんだな?」
眉間のシワは更に深くなり、目の前の鏡を凝視している。
「はっきり言ってしまえばそうですね、しかし本当に使えるならば監察方は必要無くなります、その分の人員を他に回せる事になりますね」
「あぁ、だが使えるようになるまで時間が少し掛かりそうだな…」
「まぁ…
それはそうですが‥
自分と"鬼"の距離が正確に分かるまでは…
朱雀様は広範囲と言っておりました、ですからかなりの場所をその鏡で捜索出来る可能性は高いと思います」
「…とりあえず、橘お前と総司、山崎と島田、それに監察方からもう一人この鏡を持たす、後は……慣れろだ!!」
(…やっぱり…)
瑠衣にとっては土方の考えは予想の範囲内である
実際" 鬼"が切れる自分と総司は必ず鏡を持たされると思っていた。
「兎に角頑張れ…」
口元を吊り上げニヤリと笑い瑠衣を見る土方、ついついこの間の島原の一件の仕返しかと一瞬疑問に思ってしまう…。
「…承知しました」
鏡を二枚(総司の分)を受け取り、少々不機嫌な顔で土方の部屋を後にする。
(最後の一言が効いたか…?)
土方は一人まだニヤリと笑っている。
「山崎…居るな?」
「はいなー」
土方の掛け声に天井裏から山崎が顔を出す。
「話は聞いてたな、お前と島田‥後は山崎お前の見込んだヤツに鏡を渡せ、暫くの間は今まで通りだ」
「分かりました」
残りの鏡を受け取り、山崎はまた天井裏へと戻って残る一人を探しに行った。
「さぁて…
どうなるか楽しみだな…」
"鬼"に関わる人員を少なく出来るのなら願ったり適ったり、だが総司と瑠衣の負担が増えるのは必至…
多少人間離れしていたって人は人である、負担が増えればそれだけ疲れも出る。
(もう少し非番を増やしてやるか…)
柄にも無く優しい考えをしてしまう、実際根は優しい男であるが…
ふぅーっ溜め息をし、何時もの如く減らない書類を眉間にシワを寄せて見ていた・・・
「沖田先生」
瑠衣は自室いた総司を見付け鏡を一枚渡した。
「これは??」
「朱雀様から頂いた"鬼"を見付ける道具です」
「朱雀様から?」
鏡を表にしたり裏にしたりして不思議そうに眺めてる。
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