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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第3章 "鬼"
「とにかく、急に言われても、はいとは治せぬ…我は医術はあまり向いておらぬのでな…」
鬼は顔を上げた…
その黄色い瞳には涙が滲んでいる…
((時が必要と…?))
「それもある、しかし我の世では沖田総司は労咳で死亡したと伝えられておる、我には歴史は変えられぬ…だが…歴史の方が間違いだとしたら…」
調べる価値はある、しかし今の状態ではなにも出来ぬ…
((つまり…どうせよと…))
女は朱雀を見、困惑してしまっている
「とりあえず我を解放せよ、このままでは何も出来ぬ、そなた此処が新撰組屯所と言うたな、となればこの地は京…
この時代朱雀の外宮は京にあるはず、過去を司る朱雀に頼み、水鏡で沖田総司の歪みを模索してみない事には話しが進まぬ。」
当代…我にとっては先代の朱雀に頼るのは気が進まぬが仕方がない。
((では、私と契約して頂けますか?))
「契約??」
((はい、私もあなた様を逃がしてしまえば、もう二度とこの様な機会は無いでしょう、ですから、"時渡り"を封じさせて下さいませ!!))
「・・・代償は・・・」
契約には代償が付く…
この鬼は何を代償とするのか…
((…代償は私の命と、あなた様への忠誠…力はもう殆ど残ってませんが、知識なら私でも何とか出来ます…))
瞳が本気だと訴えてる…
「何故其処までその者を助けたい?」
((…あの時‥私は解放されなければ、もっと多くの人間が犠牲になったでしょう…
私はあの方に切られ、正気を取り戻しましたが、それ故にあの方に不幸を運んでしまいました…
あの方以外にも今まで私の血をかぶり労咳で苦しんで逝った者達への罪、私の命で償えるのであればいくらでも差し出します!!))
「・・・・・・・・・」
しばらく考える…
「分かった契約しよう…」
女は目を輝かせた。
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