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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第12章 "鏡"
半刻(約1時間)殆ど歩くと、光は鏡の中心に重なりつつあった。
「光を見つけた時は鏡のほんの隅でしたよね?」
「はい…
と言う事は捜索範囲はかなり広いと言う事になります」
半刻も歩けば京の洛中四分の一くらいの距離である…
そう考えると光を見つけても、追わないと言う選択肢も出て来る…
距離が長過ぎるのだ…
一つ見付け半刻、また見付け半刻、それでは人の足だと少々辛い‥
逆に考えて此方は動かず"鬼"の行動次第という手も考慮しないといけないだろう。
「橘さん、そろそろですよ」
「承知…」
"鬼"の気配は二つ、総司と瑠衣は一体づつ"鬼"を受け持つ事に…
「「・・・・・・・」」
顔を見合わせ目配せをし、二人は一気に"鬼"に向かって走り出した!!
((ギギ??))
人間と同じ大きさくらいの"鬼"と、それを遥かに凌ぐ大きさの"鬼"二体は足音で此方に気付く…
二人は抜刀し"鬼"に向かって一直線に走る…
(右の腹の少し下!!)
瑠衣は"鬼"の心の臓を素早く見付け、刀を振り切り裂く!!
"ズシャッ‥"
総司も"鬼"に集中し心の臓を見付け、刀でひと突きにした‥
"ドスッ‥"
((ギャャャャャャ!!))
心の臓を射抜かれた"鬼"の体は塵になり、水晶だけが地面にコロンと転がた…
「ふぅ、まず二体ですね」
最近総司は脇差しに触れる事をしなくても、集中するだけで"鬼"の心の臓が見えるようになっていた、それだけ護神刀に慣れたという事だろう。
瑠衣は転がった水晶を拾い袋に入れて、これで一段落付く…
「さて沖田先生、此処からどの道を行きますか?」
鏡を頼りに随分歩いたせいで、決めた順路からかなり外れた場所に来ている
「そうですね…
山崎さん達の事もありますし、一番近い順路まで戻りますか?」
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