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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第13章 "心"


特に島原が苦手な総司や、逆に島原男の土方なんかは一発だろうし…。


(良い方法ないかなぁ…)


体力的な方は別に動けない程落ちてる訳では無いし、力もいざという時に備えて五割以上は温存している。

ただ毎日の事なので、補給しても放出の繰り返しで余力というものが無い…
それが無い事に顔色に出てるらしい。


「橘、おはようさん
…どないしたんその顔??」

丁度用があり井戸の前を通ら掛かった山崎が、瑠衣の顔をこれでもかと凝視する。

「あ…
山崎さん、お早うございます」

ニコリと笑い山崎に挨拶をする‥が山崎には取って付けた笑いにしか見えない…

「橘、一度診療室に来いや、見てやるさかい」

山崎は監察方兼隊医でもある、大きな怪我や病気は無理だが、普段の隊士の健康管理は一手に任されている。

「はぁ…
その内行きます」


(無駄だけど…)


「その内とはなんや!!
そんなん顔して疲れ溜まっておるんやろ」

このままでは無理やりでも連行されそうな雰囲気…

「大丈夫ですよ
自分の体ですから…
もし本当に駄目なら素直に行きますんで…」

そんな山崎をやんわりと否定する。

「そうか…
何かあったら絶対来るんやで…
勿論相談事もや…」

瑠衣が女である事を知っている数少ない人物…
そんな山崎に感謝しつつも、頼れない自分が情けないやら悲しいやら…。

「その時はお願いします」

とりあえず山崎にお礼を言い、後ろめたく井戸を後にする…

「必ずやでぇー!!」

向こうで山崎の大声が木霊していた・・・・・




とりあえず今日は非番である…
流石の激務に土方も非番の数を増やしてくれた。

「一日二日やらねぇでも、変わんねぇだろ」

…との事である。


(まぁ…
その通りなんだけど)


倒しても倒しても水のように湧き出くる…
どんなに倒しても"鬼"が居なくなる事は無い。

人間に害が及ばなければ、気づかれなく潜んでいる"鬼"も居るだろう。


(けど、低級とはいえ数が多すぎる…)


現代ではこんなに頻繁に"鬼"なぞ出ない。


(誰かが操っているのか、この混乱の時代だからか…)


世が乱れれば、その不安定さに"鬼"の数も増える、これは世の理…


(あー!!
今日は考えないっ!!)


せっかくの非番なのに、考え事で潰すのは勿体ない。
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