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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第13章 "心"
「良いですね、行きましょう沖田先生」
「ではもし帰れなかったら困るので、土方さんに外泊届出してきますね」
「あっはい、分かりました」
総司はいそいそと土方の執務室へと向かう…
基本的に非番でも、夕方から夜までに帰るのが新撰組の決まりである
それが無理ならば外泊届が必要であった(原田など島原朝帰り組は毎度出してると言うより土方に一声掛ければ良い)
「さて、今の内に着替えするか…」
瑠衣だとて一応女である、着替えは見られたくない(あたり前です)
丁度外出用の着流しに着替え終わった頃に総司は戻って来た。
「了解得ましたよ、ゆっくりして来いですって…」
「ぁはは…
副長らしいです」
「では私も着替えしますね」
「あっ・・・
自分外に居ますから…」
慌てて瑠衣は部屋から出て障子を閉めた。
(一応意識されてるのですかねえ…)
少々期待してしまう総司…
(あー
また考えが変な方向に…)
余計な考えを頭から追い出して、テキパキと着替え始める。
「お待たせしました、さぁ行きますか」
「はいっ!」
こうして総司と瑠衣は息抜きがてら、一路嵐山に向けて出発した。
往来の激しい京の街中を抜け、嵐山に近付くにつれて段々と静けさ漂う山道になっていく。
嵐山はこの時代でも、参拝や物見遊山で人気があり、街中という程ではないが、それなりに人々とすれ違う。
平安の世から貴族の別邸や神社仏閣への参拝などがあり、その風習が今も京の人々に受け継がれいるようだ。
そして今の季節は秋、紅葉を見にという人々も多いだろう…。
「綺麗ですねぇー
京の街中とは違い時間がゆっくり流れてる気がします」
総司は周りの山々や紅葉を見そう呟く…
「そうですね、日頃の忙しさが嘘のようです」
瑠衣も歩きながら、すれ違う人や紅葉を見て楽しそうにしている。
「最近暇無しでしたからね、たまには息抜きも必要ですよねぇー」
「沖田先生の場合、それなりに息抜きをしているように見えますが?」
「そうですかぁ??
あっ、此処まで来て先生は止めて下さい、誰が聞いているか分かりませんからね」
確かに総司の言う通りではあるのだが……
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