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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第13章 "心"
そのように訓練されたとか、何か感情を無くす出来事があったとか…
色々考えても答えなんかは出やしない。
「…多分…
周りがそれを必要としたから…」
総司の考えを読んだように瑠衣は言う…
「周りが強要したからって、橘さんがそうなる必要が何処にあるのですかっ!?」
総司は感情の儘に思わず声を荒上げてしまう…
「それが必要だったからです…
感情の無い人形のように冷静に考え、的確に答えを出す…
周りが求めたのはそんな自分」
「…そんな…」
信じられない、人が人を人形のように扱うなんて…
「…忍に近いかもしれません、己の感情を捨て任務に打ち込む、情が無いから殺す事も自ら死ぬ事もそれが当たり前と考える…」
「橘さんは忍なのですか?」
「いえ…
確かに忍の技に近い事は出来ますが自分は違います、どちらかといえば参謀…
的確に状況を判断し指示を出す、そこには私情は挟まない…」
朱雀とは言えない、近い近い言葉を選んで瑠衣は話を進める。
「橘家というのはそういう家なのですか?」
「いえ、橘は関係ありません…」
「…では…朱雀様ですか?」
「……多分それが一番近いと思います…
すみません、はっきりとは言えないんです…
自分の身にも周りの身にも危険が及びますから…」
切なく悲しい目で瑠衣は総司を見る。
(あぁ…
他人に害が及ぶのを橘さんは嫌がりますね…)
此処まで話をしてくれたのだ、これ以上自分が深入りすれば瑠衣の身が危ないのだろう‥
朱雀様が関わっているとなれば、朱雀様の一族は秘密を漏らした瑠衣を絶対に見逃さない筈……
"これ以上は危険だ…"
本能的に総司は思う・・・
「ですが、新撰組に来てから感情を出せるようになったんです…
多分それは…
沖田さん…あなたのお陰だと自分は思っています」
「私……ですか!?」
予想外の驚きに、つい瑠衣を凝視してしまう‥
「えぇ…
沖田さん感情あり過ぎですから…
山崎さんや左之、新八や平助、そんなみんなに触れて、あぁ…こんな感情もあったなと思いましたが、やはり一番は沖田さん…あなたの感情なんです」
「・・・・・・・・」
「良く笑い、怒り、拗ねたり、心配したり…
そんな色々変わる表情や感情が、自分にも影響しているのは確かです…」・