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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第13章 "心"


多分もうそんなに時間も掛からず契約は果たされる…

そうしたら自分は……


(もう時間が無い…)


あと数回力を分ければ、瑠璃の血は完全に消える。

そして契約の内容から瑠璃も消えてしまうし、自分も消えなければならない…

でも契約は契約、実行しなければならないのが定め…


(全て終われば、自分が居た記憶は無くなる…
仕方ないんだ…)


自分に言い聞かせるように、瑠衣は手拭いをきつく握り締める…。



「瑠衣?」

恒例の考え事に没頭していて、同じく顔を洗いに来た総司に全く気付いていなかった。

「えっ…!?
ああ…着替え終わったんですね、すみません今避けますから」

「…そうでは無くて、今度は何を考えていたのですか?」

「はぁ…まあ…色々と…ですね」

言える訳が無い…
もう、余り時間が無いなど…

「色々ですか?」

「はい、色々です」

相変わらず、聞いて欲しくない所には無理やり追求して来ない、今の瑠衣にとっては至極有り難い。


「本当に早く準備して立たなければ、夕方前に戻れなくなりますよ」

「そうですね…
そしたら土方さんの鬼降臨ですからねぇー
それは私も勘弁です」

慌てて顔を洗い出す総司…
そんな総司を微笑ましく見ていたその時…


"キ――――――――――ン"


「?????????」

変な禍々しい気が京全体を駆けた!!


(なんだ!? 何かがおかしい)


そしてまた…


"キ――――――――――ン"


"キ――――――――――ン"


次々と気が京全体に流れる。


「瑠衣…
何か変な感じがしませんか?」

総司も何か感じているらしい…


(おかしい所の話じゃ無い!!)


京の空全体に禍々しい八陣結界が出来上がっているのだ!!

八陣=360°全てを取り囲むように結界が張られている。


(…こんな巨大な結界…有り得ない…)


それも正では無く邪…
悪意の固まりのような結界…


(一体…何の目的でこんな物を作った!?)


京全体(勿論嵐山も)覆う巨大な力…
術式は邪だが正確に発動している。

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