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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第14章 "黒"
「はい、自分も後数組持ち合わせいます、本当にもしもの時だけ使用して下さい」
「……分かりました」
総司は結界符をしっかりと懐中にしまう…
瑠衣の方も結界符を懐に、結界石を袋のまま腰に括り着けた。
(橘さんがこう言う以上、何かがあると見た方が良いみたいですね…)
いつになく慎重になっている瑠衣…
その訳は瑠璃と当代様の話に遡る・・・
あの嵐山の一件の後、すぐさま屯所に戻り通常通りに巡察を済ませ、総司が眠った朝方に瑠衣は屋根の上に登って瑠璃を呼び出していた。
((お呼びですか??))
瑠衣の呼び掛けにスーっと瑠璃が姿を現した‥
「うん、瑠璃…空の結界が見える??」
((はい、かなり強い結界かと…))
屋根の上に座り、空を見上げる瑠衣…
「瑠璃を操った奴と関係があると思うか?」
((…多分あると思います))
瑠璃も空を仰ぎ見ている
「瑠璃"鬼"は結界を作れるの?」
((いえ、瑠衣様を引き込み縛ったのは純粋に力です…
私達は人間で言う術や結界は使えません))
「では、この結界は人間の仕業だと思って良いんだね?」
((はい、十中八九人間です))
こんな負の気を放つ人間…
一体何者だろうか??
「そう……
何が目的なんだろう…」
知らずそう独り言を呟いてしまう…
((…恨み…))
「えっ!?」
((私達の恨みの力に似ています…))
「恨みの力…」
恨みだけでこんな負の力が発生するのか…
それもたかが人間が…
((…瑠衣様、誰か来ます))
「あっ、うん自分が呼んだんだ
瑠璃見つかると少々不味い…」
(((分かりました))
さっと瑠璃の姿は消える
その少し後、一人の男が突然屋根の上に姿を現した。
「お前が我を呼び出すなんてな…
一体どうした…
‥そう聞く前に理由はあれか…」
屋根の上に現れたのは当代様である…
当代様も空の結界を忌々しげに見上ている‥
「当代様、一族の様子は如何ですか?」
当代様はその言葉に少々渋い顔を‥まぁ当たり前の反応だ
「あぁ…
力が制限されておるな…
長距離の転移、力の吸収に支障が出ている…
こんな負の気では、力を吸収するだけで胸糞悪かろう…
転移の方は全く使えん」
その言葉に瑠衣の方も嫌な顔を露わにした・・・
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