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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第14章 "黒"


「はい、道に邪魔される事無く意外と効率が良いですね、山崎さん達が屋根の上を飛び回っている気持ちが良く分かりました」

瑠衣はニッコリ笑って事も無げに言う‥

「はぁ…
ならば私もやってみたいです」

「ぁはは…
沖田先生忍の心得は?」

「全くありません」

「では無理ですよ…」

「やっぱりですかぁ…」

予想はしていたけど、やっぱり残念そうにしている総司。


「何なら今から修行しますか?
かなり辛い事になるとは思いますが…」

含み笑い半分の瑠衣‥

「・・・
無理なのを承知で言ってますね完全に…」

総司は頬を膨らまして拗ねている、何時もの癖だ

「ぁはは…
兎に角日も差して来ましたし、帰りましょうか沖田先生」

「分かりましたよぉ…」

そんな事を言いながら二人屯所への道を歩く…
これが朝方の日常‥気を張り詰めない所が二人の良い所とも言う。



屯所に戻り、そのまま直接土方の執務室に向かう…

「「只今戻りまし‥た……」」

二人同時に声を掛け、土方の部屋に入る‥が…
そこには筆を持ったまま、文机に寄りかかり眠ってる土方の姿が…

「土方さん疲れてる様ですし、私達も一眠りしてから、もう一度報告に来ましょうか…」

「そうですね…」

何時もなら土方をからかう総司も、連日の激務で疲れてる土方を起こす気にもなれず、さっさと退散する方を選んだ。




瑠衣達も自室に戻り、一眠りの準備をする事に…

「はぁー
今日も疲れましたねぇー」

刀を置いた後、風呂に入ってから寝間着に着替え、総司は眠気で欠伸をしている

「本当ですね」

同じく風呂に入って来た瑠衣も、疲れで寝る気満々

「よいしょっと…」

総司は先に引いて行った布団に潜り込む

「あっ、沖田先生…」

「はい??」

瑠衣は素早く総司の唇に己のを重ねて、さっさと自分の布団に潜る…
恋人同士に発展した今だから出来る事だ…

あの一瞬で力を送っている…

「うわっ……!?」

総司の顔が真っ赤になる・・・が・・
瑠衣の方は既に布団の中で顔が見えない。


「・・・・・・・・」

暫し考え、総司は瑠衣の布団に潜り込んだ。

「へぇっ!?」

瑠衣のなんとも間の抜けた声が布団の中で響く‥

「何もしませんよ、ただ一緒に寝たいだけですから…」
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