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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第14章 "黒"
それから暫く別行動での捜索が続く…
やはり瑠衣の方が効率が良く、すっかり屋根伝いに移動するのが癖になってしまった
今日も既に五匹の"鬼"を始末している。
最近気に入った物見矢倉の天辺で、瑠衣は暫しの休息を取っていた…
「はぁぁぁ-」
息を大きく吸って吐き出す…
高い矢倉の上が気持ちよい。
(今日も順調だなぁ-)
一時危惧していた上級は出て居らず、低級の"鬼"の数が圧倒的に増えているに止まっている。
(それにしても倒しても倒しても…)
確か‥イタチごっこって、こんな事を言うのだろうか??
そんな事を思い空の結界を睨む…
相変わらず紫色の結界線が、鈍い光を放って京を覆ってる。
(忌々しい光だ…)
あれから当代様からの連絡は無い、向こうも相当手こずっているのだろうか……
矢倉から下を見れば人一人歩いて居ない。
最近京の街では…
『夜に街を歩けば鬼に喰われる』
そんな噂話が囁かれている。
「まっ、本当の事だけど…」
瑠衣もそう思う…
そんな噂話を馬鹿にして、夜に肝試し"ならぬ"鬼試し"なぞ少々流行った。
勿論ほぼ"鬼"に喰われたが…
「馬鹿だよね、折角こっちが"鬼"退治してるのに…」
噂好き…
人間の本質の一つである事は瑠衣も理解はしている
現代で自分‥朱雀という存在が噂の格好の餌食だったのたから…。
「さぁ-
もう一仕事しようか…」
そう言い徐に鏡を取り出したのだが‥
「!!?!!?」
鏡には何時もより数倍激しい"鬼"の反応の光が一つ…
「・・・
まさか上級??」
位置的には自分の担当内だ、総司の担当の方に行かなかっただけ有り難い、本当は別行動を取る事で総司に上級が当たる事を一番危惧していた。
(結界符二組、結界石一組…
いけるか??)
今の自分で上級を倒しきれるのか?
瑠璃にさえ縛された自分、あの頃より更に力は落ちているのに…
(・・・
考えていても仕方がない…)
思いを振り切り、瑠衣は意を決して物見矢倉から跳び降りた!!
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