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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第14章 "黒"


鏡を見ながら移動していた瑠衣、その内鏡が無くても"鬼"の強い気配が分かるようになる。


(本当に上級だな…)


瑠璃並の気配が伺える…
一度気を静めて朱桜刀を引き抜き、結界符を一組掴み、"鬼"の前に飛び出した…


((なんじゃ?
人間か…
我の餌となりに来たか))


上級は低級と違い普通に言葉を話すし人間に近い容姿‥

「生憎餌にはなりたくは無いね…」

瑠衣は朱桜刀を構え、何時でも行ける状態を取る。


((愚かよのぅ…人間が我に適う訳無いて…))


そう言うと"鬼"は瑠衣に飛びかかった!!

「・・・!!」

とっさに"鬼"の爪を避け、手に持っている結界符を投げた!

それは"鬼"に当たり、銀色の紐が切れ八方向に広がる…
紙と紙の間に赤色の線が繋がり、八陣結界が出来上がった。


((結界とな…!?))


 『ザクッ…グサッ!!…』


その間に瑠衣は素早く腹と左太腿を刺す!


「まず二つ!!」

結界符が何時まで持つかなんて分からない、この"鬼"の心の臓は後二つ、右胸・頭の天辺だ!!


((おのれぇぇぇ-
人間めぇぇ))

"鬼"は簡単に己が力で結界符を引き千切る

「ちっ…」

結界符が粉々に砕け散る……

"鬼"は力を使い、道端の石ころを無数に浮かび上がらせる…
それを瑠衣に向けて一斉に放った!!


「くそっ!!」

避けても避けても、石ころは速さを増して瑠衣に向かって来る、流石に全てはかわしきれない…体中あちこちに石が当たり血が滲む…


(このままでは不利だ…
避けずに突っ込むか…)


そう思うと同時に"鬼"に向かって一直線に突っ込む!!

「はぁぁぁーーっ!!」


『ザクッ!!』


当たる石ころなぞ気にせず朱桜刀を右胸に突き刺した!!


((ぐぁぁっ!!))


だが、抵抗され瑠衣の方も"鬼"の爪が左肩に入る!!

「くっ…!!」

朱桜刀で"鬼"の爪を切り捨て飛び退き、少しの間合いを取った…


「はぁ‥はぁ‥はぁ…」

左肩から血が流れ出し、地面にポタポタと落ちて溜まっていく…

"鬼"の体も自身の血で黒く染まってゆく…。


((許さぬ…我に傷を付けた…
その報いうけるがいい!!))


そこら中にある石ころが浮かび上がる…
どうやらこの"鬼" の力は"浮力"…
物を浮かし自由に操るものらしい。
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