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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第14章 "黒"


瑠衣は地に落ちた自分の血を見てニヤリと笑う、まだ勝機は十分ある、予想外だったが自分が流した血によって…

「"我が血よ、我の命を聞け…その神の血…炎となりて敵を倒さんと欲す、血よ炎の結界となせっ!!"」

瑠衣が真言を言い始めた時から、"鬼"の爪で刺され地に落ちた血が炎と変わり始め、炎は"鬼"を目掛けて一直線に走り周りを回り"鬼"に喰らい付いて、炎で出来た血の結界が出来上がる!!


((な…
なんじゃ!?))


浮いていた石ころは全て地面に落ち"鬼"は炎の結界の中で動けずに居る

朱雀の血はそれだけで力がある、結界符など問題にもならない神の血の力で"鬼"の動きも力も封じたのだ!


「これで・・・
最後だぁぁーーっっ!!」

ここぞとばかりに瑠衣は渾身の力で走り"鬼"の頭上へと飛び上がり、朱桜刀を"鬼"の最後の心の臓がある、頭上から真っ直ぐに振り落とした!!


((ぐっ…
ぐぁぁーーっ!!))


ゆっくりと灰になっていく"鬼"……
その最後は低級とは違い、風に舞うようにハラハラと散ってゆく…

それを朱桜刀を握り締めながら、ただ無感動に瑠衣はその"鬼"の散り際を眺めていた・・・




「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」

瑠衣も体力と力の限界ギリギリで、動くのもキツい状態‥

取りあえず肩の怪我を手拭いでキツく縛り上げ、散った後に残った水晶を拾う…

「…色が…」

今まで"鬼"の水晶はみな透明だった、だがこの水晶は薄い青色をしている。


「兎に角、これ以上は戦闘不可…だな……」

着ている着物は石ころによって無数に擦り切れ血があちこちに滲んでいる、やはり一番酷いのは肩の傷で、着物は裂け血がかなり染み込んでいた。


体力的なものもあるが、咄嗟の判断で自分の血を媒体に力を使ってしまったのもある‥

純粋に力を使った訳では無く、流れ落ちた血を媒体にした為、大量の力を使った訳では無いのだが、それでも何とか普通に動くのがやっとの状態で……


「沖田先生との合流地点まで"鬼"に会わずに辿り着くのが優先…か…」

鏡を手に"鬼"の居る場所を避けながら、瑠衣は合流場所へとヨロヨロと歩き出した・・・
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