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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第14章 "黒"


とある神社のような一室ー



中央にあの問題の結界陣と同じものがあり、その中心に白い長襦袢一枚の女が居る
化粧の仕方から、島原の遊女だと連想が出来る…

だが…!!

両手両足は五寸釘で打たれ、心の臓には短刀が突き刺ささっていて、血が溢れん程流れ出て、結界陣の中は血の海だ…

女の顔を見れば、どんな酷い仕打ちで死んだか容易に想像が出来る…
目は見開いて白眼となり、開いた口からは泡を噴いて息絶えていた…。


その女から出る溢れる血は、床を伝い結界陣が吸収している…
そして結界陣は女の血によって、更に負に禍々しく光輝く…



「星羅…」

結界陣の直ぐ側に男が一人座って居る…
後ろ姿でその容姿は分からぬが、若くも無く歳でも無く…

と‥いった所か……


「ここに主‥」

いつの間にか、男の更に後ろに忍姿の男が控えて居る
これが"星羅"と呼ばれた男であろう。


「星羅、上級が一匹殺られた…」

星羅と呼ばれた男は目を見開き、主と呼んだ男の背中を見上げた


「主、上級が…で御座いますか!?」

主と呼ばれた男の声は若く、そして甘い……

「そうだ…
調べて見よ……」

「はっ、主のお望みのままに…」

そう一言言い残し、星羅と呼ばれる忍は闇に消えた…。



「朱雀が動き出したのか…?」

主と呼ばれた男は禍々しい結界陣を眺めている‥

「動いた所で…
もう止まりはせぬ、せいぜい足掻いて見せて貰おうか…」

結界陣の中の女を冷めた目で一瞥し、主と呼ばれた男は座り直し、目を瞑り瞑想を始めた・・・・・


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