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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第14章 "黒"



(温かいな…何だか眠くなる……)


眠ったら落ちる心配があるので、何とか眠気に耐えるのだが…

「橘さん…眠そうですね…」

そんな瑠衣に気づいたのか総司が声を掛けて来る

「沖田先生に触れてると、何だか凄く眠くなるんです…」

「クスッ…
それは嬉しいですねぇ-」

総司の首にそっと頬をつける瑠衣

「本当に安心するんです‥不思議な…気分です‥」

「たち・・・・・瑠衣……」

総司の顔が心もち赤い…

「総司の温もり…
安心して、心が落ち着きます…」

さっきの戦闘が嘘のように心が落ち着いている…

「もう少しで良いですから、このまま甘えてて下さいね…」

嬉しそうな顔をしている総司に、瑠衣も少しだけ嬉しそうに頷く

「・・・・・・はい・・」

瑠衣の顔も少し赤い…

もしかしたら熱のせいかも知れないが…


「さぁー
このまま屯所まで行きますよぉ-!」

「クスッ…
はいっ…!!」

総司は瑠衣を抱いたまま屯所までの道を急いだ。




屯所の門を抱っこしたまま通り過ぎる二人…

「このまま診療室に向かいましょう」

総司は診療室のある方向に足を向ける。

「沖田先生…」

「何ですか?」

「今日山崎さんは?」

「山崎さん?
確か屯所に居る筈ですが‥」

何故という顔の総司
瑠衣は総司の耳元に唇を近づけて小声で言う。


「自分女なのを忘れてませんか…??」

「…あっ…!!」

瑠衣が女だと知るのは、総司と山崎のみである。

「もし山崎さんが不在ならば、自室に運んで下さい‥」

「…分かりました」

そう言っている間に、二人は診療室に着いてしまう
取りあえず総司は瑠衣を下ろして、山崎を呼びに診療室を出て行った。


「…山崎さんは…
あっ居ますね……」

気配を探り山崎が居る事を確認し、やっと一息付き腰の刀を下ろす…
診療室の椅子に座り、漸く安心の溜め息が出て来た。

「はあ-っ…
これで傷は一安心…と…」

山崎なら、この程度の傷ならば的確に処置してくれるだろう。

「問題は…」

力の方である、今ままでも五割強くらいだったのに、現在三割程度‥半分以下に落ちてしまっている

例えこの力を使い切って底がついても死ぬ事は無いが、性質上ほぼ仮死状態で動けなくなる…。
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