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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第14章 "黒"
(傷の回復日数に合わせて玄剤を使うか…)
こんな時に動けない訳にもいかない
激薬だが仕方が無い…
苦しいのは自分だけだ…
我慢すれば力は完全回復出来る…。
そんな事を思い、診療室でボーっとしてると、もの凄い足音を立てて山崎が入って来た。
「橘!!
怪我したんやて!?」
その勢いたるや、瑠衣でも呆れる激しさで山崎は診療室に飛び込んで来た
「山崎さん忍でしょう、廊下をドタドタは無いでしょう」
意外と呑気な瑠衣を見て、流石の山崎も焦り癇癪に余計に火が点く
「だぁぁぁー!!
良くその怪我でそんな呑気な事言ってられるなわれっ!!」
普通なら気絶もんの傷だというのに、瑠衣は平気な顔をして椅子に座っている。
「・・・
兎に角脱ぎや…」
山崎は瑠衣の肩の手拭いを外しながら言う
瑠衣も治療の為と分かっているので素直に従う…
着物半分脱がされて、上半身さらし一枚の姿である。
「こりゃ酷いわ…」
肩の傷は血は止まっているが肉に食い込んでいる、その他無数に大小擦り傷が体中あちこちに点在している…
「一体どんな戦い方したんや……」
取りあえず山崎は肩の傷の治療を優先する…
「いや…
埒があかないから正面から…
そうしたら爪でザックリと…
ぁはは…」
傷に薬草をぬり、油紙をし、その上から更に清潔な布をした後、包帯を巻いてキツく固定する。
「あんな…
そんな無謀な戦い方があるかっ…!」
「だって、そうでもしないと懐に入れなかったもんで…」
「呆れて何もいえんわな…
さらしとりな…」
仕方が無くさらしを外して‥胸の中心位は動かせる腕で隠してはいるが、これはこれで問題があるかも…
山崎の方はそんな瑠衣の心を綺麗に無視して、今度は擦り傷の方を処理するのに夢中‥
何せ数が多い…
取りあえず大きな擦り傷から薬を塗っていく…
因みに胸にも擦り傷があるのだが…
「橘、仮にも女なんやから、こない傷だらけになってどうするねん…」
「まぁー
擦り傷は消えますよ…?」
「肩の傷は残りそうやな…」
「さぁ…」
「さぁ…ってなぁー!!」
取りあえず上半身全ての傷に薬を塗り処置し、診療室にあるさらしを瑠衣に渡たした。