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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第14章 "黒"


それをさっさと巻き終え、その後から大きな擦り傷に山崎が包帯を巻いていく。

「上は良いで、後下や…」

そんな治療兼会話をしている内に、総司は自室から瑠衣の着替えを持って来ていた。

取りあえず帯をしないで着物だけ交換する。


「しかし…
見事に穴だらけやなぁ…」

瑠衣が脱いだ着物を見、呆れ半分で広げてる山崎…

「ぁはは……」

これはもう笑うしか逃げ道が無い…


「一回にこんなに傷の治療したのは初めてや…」

足先や太腿にも擦り傷が沢山ある
何を言っても反省の色が無い瑠衣に諦め、治療優先とテキパキこなす。


「…終わったで、兎に角二~三日は布団の中や!!」

「はーい・・・」

こればかりは山崎に素直に従う瑠衣、いや従うしかない


「じゃあ私が自室まで連れて行きますね」

今まで黙って治療を見ていた総司がやっと口を開いた…

「はい…
すみません、山崎さん、ありがとう御座いました」

「熱出るかも知れん気いつけや」

「はい…」

山崎に礼を言い、また総司に抱っこをされて、自室に向かう瑠衣だった。



自室に着くと総司は布団の上に下ろしてくれる。

「ありがとうございます」

瑠衣は総司に笑い掛ける…
すると総司は瑠衣を正面から優しく抱き締めた…

「治療だと分かっていますが、少し妬けました…」

山崎に素肌を見せた事だろう…
何となく総司の口数の少なさに気が付いてはいたが…

「…馬鹿…」

「馬鹿とはなんですかぁ、私は気にしますよー!」

「意外とやきもち焼きですね…」

そんな総司に向かって、クスクスと笑う瑠衣

「女子が簡単に男に肌を見せたら駄目ですよ…
まぁ今回は仕方がないですけど…」

「クスクス…
分かりました…」

総司は瑠衣を離し優しく布団に寝かせる…

「本当に分かっているのですかねぇ…」

複雑そうな顔の総司

「一応理解はしていますよ?」

布団を被り、ちょこんと目だけ出して瑠衣は言う。

「はぁ・・・」

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