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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第14章 "黒"
絶対理解してない‥そう確信してしまう…
すると瑠衣は布団の前に座っている総司の手を握り絞めた
「本当にちゃんと理解してますから…」
瑠衣の予想外の行動に総司の動きも止まる…
瑠衣の方は眠そうにしているが…
「少し…
眠った方が良いですよ、ちゃんと手…
繋いでいますから」
「……う‥ん…」
少し経つと、瑠衣は本当にそのまま眠ってしまう…
「お疲れ様……」
誰に聞こえる訳でも無いが、総司は瑠衣に静かに言った。
「総司、橘」
やっと静かになった空間に、予想外ともいう土方が入って来た…
「あ…
土方さん、起きてたのですか?」
土方も随分疲れが溜まっている筈である
「いや、山崎に起こされてな…
それより橘は…?」
「ご覧の通りです」
土方は瑠衣の布団をそっと捲る…
そこには、さらしと包帯だらけの瑠衣の姿…
「こりゃひでぇな…」
鬼の土方も眉を顰める程の怪我‥
「橘さんの話では上級の"鬼"に遭遇したと…」
「上級??」
あぁ…
土方さんには話していなかったのでしたね…
そう思う総司
「これはあくまで橘さんからの話ですが‥
"鬼"には低級と上級が居るらしいのです…
上級は低級百匹束になってもかなわないとか…
そんな上級に橘さんは遭遇したと…」
「倒したのか?」
「そのようです」
「で、見返りにこの怪我か…」
「はい…」
「とんでもないな…」
ボリボリと頭を掻く土方…
「多分…私ならば生きてはいませんよ…」
「…!!」
総司がそう判断するのだから、まさにその通りなのだろう…
此奴の腕は剣だけでは無く、総合的に見ても総司より上…
此奴は朱雀様とも繋がりがある…
て事は自分達の知らない情報を持っている筈。
それが此処までの怪我を負っているのだ…
それ程その上級と呼ばれる"鬼"は桁外れな力があるんだろう…
「ちっ厄介だな…」
「…えぇ…
序でに言えば橘さんの無謀さもですけどね…」
山崎の話だと、正面から突っ込んだという…
仕方がないとは言えその無謀さに感心半分呆れ半分…
下手したら命が無い。
「全くだ…
兎に角二~三日は動かせねぇんだな?」
「山崎さんの話では、そうなりますね」
「あぁ…
俺もそう報告を受けてる、それから本人から直接報告を聞きたい、目覚ましたら一度呼んでくれ」
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