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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第14章 "黒"


手の平に収まる程小さな小瓶、中の液体は薄緑で仄かに輝いてる物‥これが玄剤

瑠衣は小瓶を持ち、またヨロヨロと布団に戻った。


(山崎さんの話だと、二~三日と言っていたな…)


小瓶の液体を確かめて、三日だと半分が妥当と判断して口に含む…
そして小瓶を布団の中の見つからない所に隠くした。

「・・・・・ゴクン・・・」

口の中で転がしていた液体を、瑠衣は意を決して飲み込む…


「・・・・・・・・・・・」

この量でも力は完全に回復する…だが…

「・・・!!」

体中に駆け抜ける激痛と、それに伴う冷や汗…
玄剤の副作用だ……

「くっ…はぁ…はぁ…」

瑠衣は力無くそのまま布団に倒れ込んでしまう…


(相変わらずキツい…
本来の姿をしてる時に比べ、副作用三割増って所か…)


天井を見ながら、玄剤の副作用の事をボーっと考えてみるが…

冷や汗が額から落ちる…
体中からも…

意識が朦朧とする…

痛みに耐えつつも、瑠衣は気を失ってしまった…。




夕餉を済ました総司は、何も知らず自室に戻って来た
相変わらず瑠衣は眠ってるのだが……

「・・??」

先程とは様子が違う…
額に汗が浮き、苦しそうに呼吸をしている。


「橘さん!?」

総司慌てて瑠衣の側に行き、その額に手を添えてみる…

「凄い熱…」

先ほどは何も無かったのに何故??

総司は暫し考え、とりあえず山崎を呼びに部屋から飛び出した。




「・・・
傷から熱が出たんやな…」

山崎は瑠衣の様子を一通り調べ、そう一言漏らす…
額には総司が汲んできた水で絞った手拭いが置いてある。

「沖田はん、橘の熱がこれ以上高くなったら教えてや、そうしたら解熱剤飲ます…
今薬飲ましたら、かえって傷が化膿する恐れがあるねん」

幸い肩の傷はまだ化膿していない…
ただ傷から来る熱なら、それで良し…
もし傷が化膿したら、かなり厄介な事になる。

「兎に角今は目ぇ離せられんで」

「分かりました…」
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