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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第14章 "黒"
「何だか嫌な予感がしてな、あれは早々に朱雀様の所へ持って行った」
「自分もその方が良いと思います」
「で…
今回の話はこれで全てなんだな?」
「はい、後は通常の"鬼"を避けつつ、合流場所に向かったくらいですね」
「あぁ…
それは仕方がねぇ…
それ以上戦うのは無理だろう」
頭を掻き、何かを考えている土方…
「?????」
「総司から聞いたが、"鬼"には低級と上級が居るのは本当か?」
「はい、大概は低級しか出会わない筈なんですが、稀に上級が出ます」
「橘、なんでそんなに"鬼"に詳しい??」
土方が話の核心を付いて来る。
「言いましたよね、小さな頃から朱雀様と懇意にしていたって、それは自分が"鬼"の心の臓を見れるから…
ですから江戸にある朱雀様の屋敷の一つで、稽古に励んでいました」
これは嘘…
後で当代様と話を合わせなければならない。
「一つだけ聞く…
橘お前は朱雀様の一族の人間か??」
「…可か否かと問われれば否です、確かに普通の人より朱雀様の一族に近いのかも知れませんが、自分は一族の人間殆ど知りませんし、内部事情も分かりません」
「…そうか…」
これは本当…
自分は先の朱雀であり、今の一族とは接点が何も無い。
歴史としてなら内部事情も分かるが、"鬼"とあの空の結界で少し変わって来ていて、本当に分からないのが現実の所。
「…多少の術式なら使えますよ?」
「術式??」
「はい、沖田先生に一組渡していますよね?」
そう言い瑠衣は土方の後ろの総司を見る。
「えっ…はい」
総司は文机の中から、結界符を取り出した。
「これは??」
「結界符と呼ばれる御札です‥
一枚でも効果はありますが、沖田先生に渡したのは八枚一組の八陣結界の札です」
「八陣結界??」
「えぇ…
八方向、つまり前後左右全てに対し有効な結界で相手の動きを止めます…
強力なんですが、一回使い切りなのが難点ですね…
それでも多分上級には一時凌ぎ程度かと…」
確かに上級に一瞬で破られた…
「こいつを沢山作る事は?」
「難しいと思います、まず紙自体が手に入らない」
「特殊なもんか?」
「はい、紙作りの時点で何かしらの術式が織り込んでいるらしいんです…」
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