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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第15章 "白"
「さて……」
瑠衣は着物を脱ぎ本当に風呂に入る、別に嘘を言って此処に来た訳じゃない。
さっと湯を被り、湯船に浸かり手足を伸ばす
一人になりたい時は、風呂が一番良い…
バレない為に常に回りの気配に警戒は必要だが、時間的に、こんな朝早くに風呂に来る奴はまず居ない筈…
総司も自分が風呂だと言えば邪魔は一切しない。
「はぁーーっ…」
両腕を大きく伸ばし、のんびりと寛ぐ…
そして…急に真面目な顔になった…
(確かにあの忍は此方…
いや、自分が上級を倒した事を知っていた…)
お湯を救いながら瑠衣は更に考える…
(もしあの方陣に関係ある者なら?
知っていても可笑しくは無い…それにあの武器…)
瑠衣は忍が使っていた円月輪を思い出す…
(あんな特殊な武器、扱える人間なぞ少ない…
個人で修得というより、何処かの一族………)
…そんな時、遠くから誰かが風呂にやって来る気配がする。
「…ちっ」
考えを中断されて多少不服だが、それでも素早く風呂から出て着物を着る…
そして何事も無かったように脱衣所から出た。
少し歩けば、思った通り斎藤と出くわす。
「あれ…
斎藤さんも風呂ですか?」
「…あぁ…
橘お前もか…」
「はい、自分はもう上がった後ですが…」
「そうか」
「では自分はこれで」
考えを中断させられて多少面白く無いせいか、態度が少し堅い。
「橘…」
斎藤が呼び止める…
「なんでしょうか??」
「…お前は一体何者だ…?」
今日の行動を見ていれば、言われるのは当たり前と言えば当たり前…
瑠衣は斉藤に対してにっこり笑い…
「自分は自分ですから…」
そう一言だけ言い残し、斎藤の側を後にした・・・
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