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第15章 "白"

「主上から橘様の事は全て伺っております
もし必要なら手助けも構わぬと仰っておりました」

「ならば私は自己紹介はいらないな…」

礼の姿勢を取っている焔と名乗った男の方を見る…

「はっ、」

「しかし…何故忍だ？」

「私は力より忍の技が長けているので、この役が適任かと…」

「なる程…
して本題に入るが良いか？」

「勿論で御座います」

瑠衣は少しだけ表情を堅くする。


「焔と言ったな、お前は円月輪という武器を知っているか？」

「円月輪…ですか？」

注意深く焔の顔を見る…

「その顔は知らないか…
その円月輪を操る忍に出会った…
其奴は私が上級を倒した事を知っていた…」

「!！!！!」

焔が驚きの顔をする‥

「上級を倒した時、私は一人だった…
倒した事を知るのは、組幹部数名と当代様のみ…
なのに祖奴は出会い頭に、私が倒したのかと聞いた…」

「敵方がとうとう現れたと…」

瑠衣は頷く…

「その円月輪という武器、少々特殊な物で丸い大きな輪で外側は全て刃、一度投げてもまた自分の元へ戻る…
かなり厄介な武器だ…
扱える者が居るとは思わなかったが…」

「・・・・・・・」

焔は黙って瑠衣の話を聞いている‥

「あの武器は個人的修得出来るものではない…
何処かの忍の一族特有の物だと思う、それがどの一族なのか調べて貰いたい…」

「・・・
黒幕がその一族と繋がっていると？」

「そう…
祖奴が現れた時、まるで餌のように"鬼"が大量に集まっていたのでな…
関わり合いはある…そう見ている」

「円月輪と一族ですね、承りました」

「頼む…」

ふと焔は思い出したかのように、瑠衣の方を見た


「それと…
主上からの伝言で御座います…
"何か物入りなら用意する故何でも申せ"
との事に御座います」

「…分かった…
当代様に宜しく伝えてくれ」

「はっ…！」

そう言うと頭巾を被り焔は姿を消した。



「はぁーーっ…!!」

とりあえず忍の事は当代様に一時任せるしか無い‥
瑠衣は大きく背伸びをすると、ひょいっと屋根から飛び降り、そのまま自室に戻った…。
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