この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
木之花ノ夜想曲~夢語り~
第15章 "白"
「全くだ…」
斎藤も総司を見て密かに溜め息を吐いてる。
「私的には寒く無いのですがねぇ…」
鈍いのか丈夫なのか…
瑠衣と斎藤は呆れを隠しきれない。
「!!!」
ふと遠くの方から、瑠衣が何かの気配を感じ取る!
「橘さん…」
総司も分かったのか、今までの呑気な顔とは打って変わって真剣な顔になった
「気配は…五…いや六か…」
斎藤も目を細め、戦闘体勢に入っている
「…向こうに橋桁があります、気配を消して此方に来るまで様子を見ましょう」
総司の言葉に頷く二人…
すぐさま橋桁の側に移動する・・・
橋桁に移動した三人、気配を完全に消して様子を見る事に…
そこに浪士らしき者たちが六人姿を現た・・・
「先生、こんな時間に夜の京を歩くのは危ないですよ‥」
「ふん…
危ないのは"鬼"かぁ、それとも壬生浪かぁ??」
「どちらもです!!」
微妙な訛り…
長州のものだろう…
長州藩士は取り締まるべき、そう会津からお触れが出ている程の倒幕派
だとしたら、此処で捨て置く訳にはいかない‥
三人は頷き合い、同時に橋桁から飛び出した。
「待て…」
斎藤が声を掛ける…
「なんだ貴様??」
浪士達は此方を見る
「新撰組だ…貴様等長人(長州藩士)か?」
「壬生浪!!」
浪士達は殺気立ち一斉に刀に手を掛ける…
だが、先生と呼ばれた男は違った。
「ほぉ、壬生浪がダンダラも羽織らずこんな所に居るってかぁー
不思議だなぁ…」
瑠衣と総司も一応刀に手を置いて、慎重に先生と呼ばれる相手を距離を取って見ている。
(あれは‥高杉晋作!!)
意外な重要人物に瑠衣は驚く…
(いや…
この時期…居てもおかしくはないか…)
もう少ししたら吉田稔麿率いる一派が、京の街の家屋に連続放火を始める筈…
瑠衣は注意深く高杉を見る……
「はんっ、壬生浪と言っても女顔と痩せ細いのが三人かよ…
顔で選んでるのかねぇ」
高杉は如何にも此方を馬鹿にした雰囲気である…
その時、浪士の一人が…
「先生はお下がり下さい、後は我々がやります!」
そう言って浪士達は次々と刀を引き抜き、此方に向かって構えた・・・
・