この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
木之花ノ夜想曲~夢語り~
第15章 "白"
浪士達全員刀を構えたのを見て、総司はクスッと笑う…
「良いのですね…
刀を抜いたからには容赦しませんよ…」
総司は静かに刀を抜く…
それに合わせて瑠衣と斎藤も刀を引き抜いた…
「斎藤さん、此処は自分と沖田先生が、斎藤さんは先生と呼ばれる奴を追って下さい…」
瑠衣は二人にしか聞こえ無い小さな声で言う。
「承知した…」
「分かりました…」
小さく頷く二人…
瑠衣には瑠衣の考えがある
斎藤では高杉には勝てない…
今、高杉晋作を"殺す"訳にはいかないのである。
(歴史が狂う…)
それはしてはいけない…
それに自分が荷担する訳にもいかない…
悔しいが、斎藤を出して高杉が逃げる事を瑠衣は望んだ。
浪士達が此方に向かって切り掛かって来る!!
「斎藤さん!!」
総司と瑠衣は浪士達と組み合いになる中、斎藤は高杉に向かって走る!!
「邪魔ですよ…」
総司は既に浪士一人の首を跳ねている
ゴロンと首が落ち、血飛沫を撒き散らし倒れる浪士…
それを見て他の浪士の腰が引ける…
「何処見てるんですか?」
瑠衣の刃が浪士の心の蔵を正確に貫く…
「が…は……」
刀を引き抜くと、浪士の体は人形のように崩れ落ちてゆく…
「六人ですから、一人三人ですかねぇ…」
「一人斎藤さんが追っていますよ?」
「あぁ…
そうでした…」
この惨劇の中、普通に会話している瑠衣と総司…
向こうに取って、それはどう見えているのか……
「お…鬼だ…」
浪士達の顔が青ざめている…
そう思われても仕方がない。
総司は素早く浪士の懐に入り袈裟懸けを一太刀、そしてそのまま止まる事無く、隣に居たもう一人の浪士の首を一突き…
どちらも一撃で致命傷…
血を吹き出し倒れる…。
瑠衣も残りの一人に"神足"で近づき、やはり心の蔵を一突き…そして向こうの斎藤の方を見る…
浪士は言葉を発する事なく倒れている。
なるべく一撃で苦しまない様に仕留める…
瑠衣なりの情けなのだが…
少し離れた場所で、斎藤は高杉と対峙していた…
「くっ…」
高杉の重い一撃を受け止め、鍔迫り合いに持ち込む
「ふんっ、意外と強いなぁ」
「貴様こそっ!!」
力の差で斎藤が不利だ…
・