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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第15章 "白"
「瑠衣・・・
人でも神でも心はあるのよ、ただ瑠衣が封じ込めていただけ‥」
「・・・それも自覚してる・・・」
翠蓮が一族がと心を‥感情を封じ込めたのは本当、総司に出逢うまで、その事すら忘れていたが‥
「だったら素直になりなさいよ、好きな気持ちに……「待って華因…」」
更に言い放とうとした華因を、瑠衣はやんわりと止めた
「・・・
自分は‥朱雀だという事がバレるのが一番恐いのかも知れない…
人間が自分の事をどう思っているか知っているから‥
このまま橘瑠衣として沖田総司に恋するのは良い、例え何時かは別れる日が来るとしても、向こうは何も覚えていないのだから」
一度目を閉じ、気持ちを落ち着けて目を開き、華因を見据えて言う…
「でも、自分が朱雀と知れた時、向こう‥いや沖田総司が他の人間と同じ感情を持ってしまったら、自分は橘瑠衣を続けられないと思う」
「・・・・・・・」
現代、朱雀として過ごす日々、そして人々の前に立った時の人間の感情…
恐れ・敬い・畏怖・羨望
それ以外の感情を持った人間に出会った事は無い
もし総司がそんな感情を自分に持ってしまったら、自分は総司の側に居る事は出来ないだろう
その感情はあまりにも辛い…
「・・・
気持ちは分かるわよ・・・」
今まで威勢を張っていた華因が、ペタンと座り込んでしまう
「そんな事ぁたしだって分かってる
でもね、せっかく手にした瑠衣の恋心だもの、成就させてあげたいと思うわ」
「他人を見て愛しい切ないという感情は分かったと思う、それが沖田総司に対してのものだとも…
だからこそ恐いんだ、朱雀としてのもう一人の自分が…」
「それでも‥恋した事を後悔しないで…
もう感情を忘れないで‥お願い…」
「華因・・・」
何時になく本気の華因に、瑠衣も中々言葉を返せない、此処まで言う華因も珍しい…
「此処は人の情が薄くなった現代とは違うわ
もしかしたら沖田総司なら、瑠衣の心を本当に開いてくれるんじゃないかって少し思ってるの…」
「沖田総司だから??」
「石より頑なな瑠衣の感情を引き出したんだもの、本当の感情を引き出してくれるんじゃ…
ぁたしの期待半分だけど…」
総司だから?
それに本当の感情…
いまいち分からないが、華因が何かを期待しているのは確か…
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