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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第15章 "白"
瑠衣も一気に"鬼"を始末したい、だが力の関係と総司が居る手前、それが出来ずにいる…
草の束は次々と二人を襲う…
避けては切り捨て…
これでは消耗戦だ…
「…仕方がない…」
瑠衣は腰に括ってある袋を引きちぎる…
そして袋を開け"鬼"に投げ付けた!!
『パ――――――!!』
赤い石が八つ"鬼"の周りを回る…
先程の八陣結界の強化版…
石が八方向に広がり光を放つ…
((グググ……))
『グサッ!!』
瑠衣は素早く左肩の付け根部分に一太刀入れる
「あと一つ!!」
しかし草の束が行く手の邪魔をする…
「ちっ…」
草の束を切り捨てながら、瑠衣はまた間合いを取る…
結界で"鬼"は縛れても能力は封印出来てない…
総司も草の束を避けるのが精一杯のようだ…
「本当に消耗戦になりそうだ…」
「…そう…ですねっ!!」
また一つ草の束を切り捨てる総司…
(何時までもこのままではいられない…)
結界石だとて何時まで保つか分からない…
それに草の束は嫌になる程襲って来る…
何か方法は??
その時!
「くっ!!」
総司の足を草の束が掠め、総司は片膝を付いている!!
「!!!!!」
草の束は総司に止めを刺そうと、心の蔵を狙っている…
総司は足をやられて動けない。
そんな最中、草の束が動いた!!
『バサッ…』
だが‥草の束は総司に届かず地面に落ちる…
「なっ…お…"鬼"!?」
其処には瑠璃が総司の前に立ち塞がっていた!!
総司は反射的に瑠璃に刀を向ける…
「沖田先生!!
待って下さいっ!!!!」
瑠衣はなりふり構わず総司を止める…
「た…橘さん…何故??」
「その"鬼"は敵ではありませんっ!」
その間も草の束の攻撃は続く…
瑠璃は総司を庇い応戦している…
((同胞が…人間に荷担するのか?))
瑠璃は"鬼"の方を見据えた…
((それはお前には関係の無い事、私には私の目的がある))
そして悲しそうに瑠衣の方を見る瑠璃…
((契約…
果たしましょう…))
「!!!!!」
瑠璃は草の束を爪で切り捨てながら"鬼"に向かってゆく…
その隙に瑠衣は総司の側に駆け寄り、怪我の具合を確かめた。
「先生、少々かすっただけです、心配は無さそうです」
そう言いながら、傷口を手拭いで縛る。