この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
木之花ノ夜想曲~夢語り~
第15章 "白"
「つっ…
えぇ掠り傷ですから、動くには問題はないです…」
総司は直ぐに立ち上がる…
その直後…
『パ――――ン』
結界石が粉々に砕け散った!
「「!!!!!」」
その瞬間、瑠璃が"鬼"に抱き付いた!!
「瑠璃!!」
((私がこの"鬼"を縛します、多分少ししか保ちません、いまの内に倒して下さい))
瑠璃の力は縛、人を物を拘束する力…
「る…り…」
瑠衣は朱桜刀を構える…
((楽しかったのですよ瑠衣様、契約とは言え"鬼"である私と対等に話をしてくれたのは、瑠衣様だけでしたから…))
「・・・・・」
構えた瑠衣の刀が震えている…
((でも契約は契約…
瑠衣様は私の無理な契約を果たしてくれました…だから…))
「…瑠璃…」
瑠衣は俯いていて、その表情は見えない…
((だから…
最後くらいお役にたって見せますから…))
そう言い瑠璃は微笑んだ…
一撃……
それだけで全ては終わる…
だが瑠衣はその一撃を踏み出せないでいた…
「…橘さん…」
総司も辛そうである…
((…愚かな同胞よ…))
とうとう瑠璃の縛を振り切り"鬼"が動き出した!!
((瑠衣様!!))
((死ぬが良い!!))
『グサッ‥グサッ‥グサッ‥グサッ!!』
((あ"あ!…ぁぁぁ……))
草の束が四本、瑠璃の体を‥心の臓を貫いた!!
「「!!!!!!!!」」
瑠璃の体はゆっくりと灰となり、黄色の水晶が地面に落ちる……
「瑠璃――――っっ!!」
瑠衣はただ呆然とその姿を‥水晶を見ていた…
((人間…
次は貴様等だ!!))
その時、瑠衣の気配が急に変わった!!
「・・・人間?
貴様等"鬼"などにやられる我では無いわっ!!」
瑠衣が漸く顔を上げた…
その瞳は赤色に変化している。
「契約で命を落とすならば、苦しまずに逝けたものを…
許さぬぞ"鬼"よ…」
瑠衣の‥その赤き瞳に縛され、動けない鬼"…
「だが…その前に…」
瑠衣は徐に総司の脇差しを引き抜く‥
「影でコソコソと…
何時まで我を見張るつもりじゃっ!!」
脇差しが空に‥屋根の上に向かって飛ぶ!
『グサッ…』
「ぐぁぁぁー!!」
屋根の影から、この間の忍が落ちて転がり落ちて来た……
・