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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第15章 "白"


「つっ…
えぇ掠り傷ですから、動くには問題はないです…」

総司は直ぐに立ち上がる…

その直後…


 『パ――――ン』


結界石が粉々に砕け散った!



 「「!!!!!」」


その瞬間、瑠璃が"鬼"に抱き付いた!!

「瑠璃!!」


((私がこの"鬼"を縛します、多分少ししか保ちません、いまの内に倒して下さい))


瑠璃の力は縛、人を物を拘束する力…

「る…り…」

瑠衣は朱桜刀を構える…


((楽しかったのですよ瑠衣様、契約とは言え"鬼"である私と対等に話をしてくれたのは、瑠衣様だけでしたから…))


「・・・・・」

構えた瑠衣の刀が震えている…


((でも契約は契約…
瑠衣様は私の無理な契約を果たしてくれました…だから…))


「…瑠璃…」

瑠衣は俯いていて、その表情は見えない…


((だから…
最後くらいお役にたって見せますから…))


そう言い瑠璃は微笑んだ…

一撃……

それだけで全ては終わる…
だが瑠衣はその一撃を踏み出せないでいた…


「…橘さん…」

総司も辛そうである…


((…愚かな同胞よ…))


とうとう瑠璃の縛を振り切り"鬼"が動き出した!!


((瑠衣様!!))


((死ぬが良い!!))


『グサッ‥グサッ‥グサッ‥グサッ!!』


((あ"あ!…ぁぁぁ……))


草の束が四本、瑠璃の体を‥心の臓を貫いた!!


「「!!!!!!!!」」


瑠璃の体はゆっくりと灰となり、黄色の水晶が地面に落ちる……


「瑠璃――――っっ!!」

瑠衣はただ呆然とその姿を‥水晶を見ていた…


((人間…
次は貴様等だ!!))


その時、瑠衣の気配が急に変わった!!

「・・・人間?
貴様等"鬼"などにやられる我では無いわっ!!」

瑠衣が漸く顔を上げた…
その瞳は赤色に変化している。


「契約で命を落とすならば、苦しまずに逝けたものを…
許さぬぞ"鬼"よ…」

瑠衣の‥その赤き瞳に縛され、動けない鬼"…

「だが…その前に…」

瑠衣は徐に総司の脇差しを引き抜く‥

「影でコソコソと…
何時まで我を見張るつもりじゃっ!!」

脇差しが空に‥屋根の上に向かって飛ぶ!


 『グサッ…』


「ぐぁぁぁー!!」

屋根の影から、この間の忍が落ちて転がり落ちて来た……
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