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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第4章 "探"
「歪みがあると?」
当代様は意外そうな顔をする‥
それもそうだ、歴史歪みがあるのなら当代様がとっくに"処理" していても可笑しくはない
朱雀とはそういうモノだから…
歴史の監視者、つまり不正な歴史は抹消する、それが朱雀の役目ー今この時でも常に一族が歴史を監視している
それに"漏れ"があるなど、当代様にとっては屈辱以外の何ものでもない
勿論次代の自分にとっても…
「・・・それを調べたいのです」
「…分かった、案内しよう」
当代様は立ち上がり、水鏡の間に向かって歩き出した・・・
水鏡の間ー
それは部屋の中央に直径3メートル位の大きな水が入っている白い大皿と、その回りに八つの結界石が置いてある代物
「好きに使うが良い。」
当代様は壁に寄りかかり、事の成り行きを静観するつもりらしい‥
瑠衣は頷くと水鏡の前に座った…
そして、朱桜刀で指先を切る…
『ポタン・・・』
水鏡の中に血が一滴落ちる……
瑠衣は水鏡に意識を集中する…血が落ちた波紋が収まった後、水鏡に風景か映しだされた・・・・・
ーーーーーーーーーーーーーー
「ふぅー今日も暑いですねぇ斎藤さん」
男は手で自分の顔を仰ぎながら、無表情に歩く斎藤と呼ばれる男に話しかけた
「総司、暑いのはお前一人じゃ無い…後ろの平隊士を見てみろ」
"総司"そう呼ばれた男こそ、新選組一番隊隊長沖田総司
茶色味かかった肩より長い髪を上に結い、女のような綺麗な顔立ち、やはり茶色味かかった瞳で、にこにこと後ろを振り向く
そこにはぐったりとして歩いている平隊士達が…
「やだなぁーもっとしっかり歩いて下さいよー、これでも巡察中なんですよぉー」
自分の事は棚において、よく言うと斎藤は思う。
新選組三番隊隊長斎藤一
肩につかない程度の短めの黒い髪、少しキツそうな細い目、沖田と同じく細身の長身、女顔ではないが、京の女共が騒ぎそうな精悍な顔
「お前が言えた義理ではないと思うが…」
無表情の中に少々眉間にシワがよってる…
総司はそんな斎藤を見て、けらけら笑い出す
「斎藤さん、そんな眉間にシワなんか寄せてたら、土方さんみたいに年中シワだらけになりますよぉ…あーははは…」
誰のせいだと斎藤は思いつつ、ふと人の気配に気が付いた……
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