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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第16章 "真"

総司はこの場所に着くと、適当な岩に腰を下ろした。
「綺麗でしょう…
本当に偶然見つけて、すっかり気に入ってしまったのです」
「気持ち分かります…」
月明かりの所行か、または洞窟の壁の色なのか、周りは薄い青い輝きを放っている。
瑠衣も適当な場所を見付けて座り、暫しこの幻想的な洞窟内を見回す…
そして意を決して総司に話かけた。
「…沖田先生…
聞きたい事があるんでしょう?」
「・・・・・・・・」
でなければ山崎に後を頼み、わざわざこの様な場所に来る筈が無い。
「…そうですね…」
どう切り出して良いのか分からず、総司は思案顔をしている。
「契約…」
「えっ?」
「契約とは…?」
瑠衣は上を‥洞窟の天井が少し開け、外が見える場所から夜空を見上げた…
「・・何処から話ましょうか…」
ポツリと一言いい、瑠衣は総司に向き直る。
「沖田先生は瑠璃…いや、あの"鬼"と一度会っている筈ですね?」
「私が…??」
総司は暫く考える…
そして、瑠衣が来る前の出来事を一つ思い出す。
「…前に…
まだ橘さんが入隊する少し前、確か女の姿をした"鬼"に出会いました…
そして…その"鬼"に一撃を入れて……」
「…沖田先生はその"鬼"の返り血を被り、その隙に"鬼に逃げられた…」
絶妙な間で瑠衣が話を繋げる…
「…はい…
その通りです」
何故という顔の総司‥
「その"鬼"が瑠璃です」
瑠衣の言葉にあの時の"鬼"と先程の瑠璃と呼ばれる"鬼"の顔が総司の中で完全に一致した。
「自分は…
ある場所から瑠璃に引っ張られ、京に来ました…
瑠璃の目的は沖田先生あなたでした…
瑠璃の血は労咳の病で出来ている‥
瑠璃の血を被った先生を労咳から治す、それが彼女の願いだった…」
次々明かされる真実に、総司は驚くばかりで言葉が出なくなってしまう。
「瑠璃は自分に労咳の病と、先生の体の中に入ってしまった己が血を消してくれと言ってきました…
ですが自分だとて、そう簡単に出来る事ではありません…
其処で瑠璃は契約しようと言い出しました
自分は此処から離れられない事…
瑠璃は命と忠誠‥この二つの条件で契約がなされました」
瑠衣は一度話を切る…
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