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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第17章 "試"
「何だか隊服が久しぶりですねぇー」
「そうですね、自分なんか数回しか着てませんよ…」
今日は通常の夕方の巡察、実に二ヵ月近く"表"の隊務から遠ざかってた総司と瑠衣…
隊士を率いての巡察は久方ぶりである。
「人が一杯歩いてますねぇ」
「当たり前ですよ沖田先生……」
「ですけどねー
最近は夜巡察ばかりで、人も見れませんでしたしー」
「はぁー
それはそうですが、今更珍しいものでは無いでしょうに…」
相変わらずの二人である
"表"でも"裏"でも緊張感まるで無し…
それがまた良い所でもあるが…
何時もの如く言い合いをしながら所定の順路を歩く…
最近は大きな事件も無く、巡察終了してると聞いている。
「逆に何も無いと寂しいですね」
「平和が一番です」
総司の物騒な言葉をバッサリと切り捨てて、瑠衣は巡察を続ける。
巡察も終わりに近づき、屯所への道を歩いている…
「本当に昼間は何も無いんですね…」
流石の瑠衣も一言零す。
夜、あれだけ走り回ってたのが嘘のように、昼間は事件らしい事件は無い。
「さて、皆さんそろそろ解散ですよー」
「「お疲れ様でした!!」」
巡察は終わりと、平隊士達はそれぞれ屯所の中に入って行く…
「…瑠衣、物足りませんか?」
その言葉に瑠衣は後ろに振り向いた。
「此が普通なんですよね」
「土方さんもとりあえず試しだと言ってたでしょう、もし駄目なら夜に戻りますよ」
斎藤と山崎次第だが…
それと上級には瑠衣以外は手を出すなと、土方と朱雀様からキツいお達しが出ている。
つまり瑠衣は相変わらず"裏"の仕事中心である。
「斎藤さんと山崎さんなら上手くやるでしょう、自分の出る幕はありません」
「そうですねぇ」
「そうですよ」
そんな事を言いながら、二人も屯所へと入って行く。
事実、山崎と斎藤は見事な連携で次々"鬼"を倒している…
どうやらこの二人の相性は良いようだ。
総司と瑠衣程の成果は上がって無いが(この二人の連携は異常並)土方の納得のいくものである。
更に試しと七日交代、十日交代と色々試行錯誤を繰り返していった・・・
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