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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第4章 "探"


「くっ…」

総司は女…いや"鬼"の爪を何とか振り切り、間合いを取った


(本気で殺らなければ、此方がやられる)


本能的に総司は思う
構えを平青眼にし、三段突きで一気に片を付ける…それしかない!


    "タンッ!!"


そう考え、行動に移した!!

足音一つで三回の突き、幾ら"鬼"でも避けきれない筈…


一回目、喉を狙った
それを爪ではじき返される…

二回目、心の臓を狙い、"鬼"はとっさに左に寄りかわされる…

「!!!!」

三回目、本来なら眉間を狙うが鬼"が左に動いたのに合わせ、右肩を狙い突いた!!


"ザシュ!!"


((っ!!!))


急所は外したものの、右肩には総司の刀が深く突き刺さっている

総司は素早くそのまま袈裟切りにしようと刀を右肩から抜いた。


"ドロッ・・・・・"


のそ反動で"鬼"の血が吹き出し…真っ黒な血が総司の顔にかかる!!

「総司!!」

斎藤の叫び声が聞こえる・・・


((・・・・・・・・!!!))


その瞬間"鬼"の瞳から獰猛な光が消えて行く…

どうやら、この"女鬼"の実力から考えて、切られれば(つまり死を意味する)暗示が解けるようになっていたらしい。


「なんですか、この血…気持ち悪い…」

総司は真っ黒な血が体の中に染み込んでくる感覚に襲われて、気持ち悪さが先に来て動けない


((っ…!!))


その一瞬の隙をついて"鬼"は天高く跳び去った!!


「待てっ!!」

斎藤の援護も間に合わず"鬼"は闇夜に完全に姿を消した。


「・・・・・・・・・」

突っ立て動かない総司が気になり斎藤は声をかけて見る…

「大丈夫か総司…」

「・・・えっ?
…大丈夫ですよぉ斎藤さん、ちょっと返り血を浴びただけですから
さっさと屯所に戻って風呂に入りたいです。」

何時もの調子でにこにこ笑う総司を見て、要らぬ取り越し苦労だと斎藤は思い込んだ。



だが、確実に総司の体に"鬼"の血が吸収されたのは間違いない事実…

それを知っているのは、あの"鬼"のみである。

そう…総司自体も気づかないうちに・・・・・


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