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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第17章 "試"
「弱いですよ」
総司はあっさりと浪士二人を突き、斬り倒す…
瑠衣も一人の両腕を斬り飛ばしている…
「なっ…こ…
この女がどうなっても良いのか!!」
女を捕まえていた浪士の一人が、女の首に刀を付けて此方を脅しに掛かっている。
「…い…いやや…」
刀を付けられた女の顔は青白く、小さな声すら震え此方を見て…
「人質を取らないと勝てないと踏んだのですか?」
だが、総司と瑠衣は至って冷静だ。
「刀を捨てろっ!!」
微かに刀が動き、女の首からツーっと血が一筋流れた。
「…分かりました」
総司は仕方が無くという感じだが、刀を地面に落とす
瑠衣もそれに習い刀を離した…
だが……
『ドスッ』
「・・がはっ!!」
浪士の一瞬の気の緩みに気付き、瑠衣は素早く総司から借りている脇差しを抜き、浪士に向かって一直線にブン投げた!
脇差しは人質ギリギリをすり抜けて、浪士の眉間に命中!!
更にその浪士が倒れる前に、女を引っ張り出す総司…
瑠衣の正確な武と、総司の瞬時の判断、二人の見事な連携である。
瑠衣はそのまま自分の刀を拾い上げ、残りの浪士全員を簡単に斬り伏せた後、総司の刀を拾って、何事も無かったように女と共に居る総司の方に歩く。
「先生、お疲れ様でした」
一言そう言って総司に刀を渡す…
「えぇ、橘さんも」
総司も刀を受け取り、血を払って鞘に戻した。
「すみません、女の方が見るような事ではありませんでしたね、大丈夫ですか?」
瑠衣は女に話掛けながら、脇差しを引き抜き鞘に収める。
「へ…へぇ…
うちは何とも無いどす…」
女の顔はまだ青白い…
こんな惨劇を見れば、一般人‥それも女子ならば当たり前と言えば当たり前の話…
其処にやっと後続の平隊士達が追い付いた。
「隊長!!」
「あぁ…
事は終わっています、後始末をお願い出来ますか?」
「はっ…はい!!」
「兎に角お姉さん、早く此処から離れましょう?」
「…へぇ…」
どうにも総司は女性の扱いに慣れて無いようで、こんな血の海のような場所に平気で女を立たせた儘…
結局こういう時は、総司より多少女心が分かる瑠衣の担当になってしまう・・・
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