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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第18章 "陣"


もう直ぐ雪が降ろうかという今日この頃、相変わらず総司と瑠衣は二人組みで"鬼"の捜索に出ていた。


「寒いですねぇ」

「もう直ぐ冬ですからね…」

着流しに羽織の新撰組と言っても俄かに信じて貰えないような姿で、今日も夜の京の街を歩く。


「相変わらず少ないです」

「此では体が温まりませんよぉ」

「はぁ…
確かにそうですね」

鏡に光る"鬼"の数は三つ、それぞれ少し距離があり、只今渋々移動中。

あの緑糸の一件以来"鬼"の数は極端に減少…

京の治安を守る自分達に取っては良い話なのだが、逆に夜徘徊する不逞浪士が増えたのもまた事実…。

下手すれば"鬼"より不逞浪士を斬っている数の方が多い日もあるくらいで…
土方は夜の"鬼"の巡察にも隊服を着用させようか思案中だ。



「瑠衣、今日はどちらが先だと思います?」

瑠衣は鏡を見ながら…


「不逞浪士…」

そう一言…

「やはり隊服は必要ですかねぇ」

「逆に隊服を着用していないからこそ、不逞浪士が引っ掛かると思いますが…」

事実隊服…
浅葱のダンダラはかなり目立つ…
隊服を着用していないお陰で、不逞浪士の警戒も薄れているのである。

そんな話をし歩いていると、案の定怪しい武士共がこそこそと集まっている姿が見える。


「瑠衣の当たりですね」

「そのようで…」

二人は気配を消して、不逞浪士達に近付いて行く。


「此処で待ち合わせだな…?」

「あぁ、そう言っていた」

微かに聞こえて来る声、京の人間ではない訛りがある…
総司と瑠衣は頷き、浪士共の前に出た。


『ガサッ・・』


「何者!?」

浪士達が一斉に此方に振り向く…

「何者と言われても…
兎に角新撰組です、大人しく捕まるかそれとも…」

新撰組の名を出した途端、浪士達が殺気立つ。

「あー
やっぱりそう来ますか…」

素直に捕まってくれたら良いのに…
頭の隅でそんな事を思っている総司、弱い相手はつまらない‥それが理由らしい。


「相手は二人だやっちまえ!!」

一斉に刀を抜き、此方に斬り掛かって来る。

「仕方がありませんね…」

総司は刀を抜き応戦するのだが…
ものの数分で浪士達は屍と化していた・・・
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