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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第18章 "陣"


それを壊せば結界は崩れる。

問題はそれが何処なのかだが…

「簡単に見付かる場所になんか作ったりはしない…ならば??」

何処か遠くか、案外巧妙に隠して近くか…
だが毎日夜歩いて、それらしき気配は全く無かった。


「・・・まだ打つ手無しか…」

手掛かりが欲しい…

いや、自分は何かを見落として無いか??

瑠衣の考えは尽きない…


「この京で、こんな広範囲な結界を張るとしたら?」

結界の大きさは布陣の大きさに比例する…
一々結界の布陣を見て歩くなんて真似を自分はするだろうか?

「…自分なら…縮図…作るな…」

結界を見る為の仮結界、言わば模型みたいな物、だが自分はその場からほぼ動けなくなる、仮結界は脆い…

ほんの少しの衝撃でも簡単に崩れてしまう、それは本来の結界にも何らかの影響を及ぼす…。


「とりあえず陰陽道について外宮に行きたいな…」

"鬼"に関しての術式が知りたい、その上で何か手だてがあるのではないのか??

思い立ったら即行動、瑠衣は型代を作り飛ばす…


「さて本当に起きるか」

大きく背伸びをし、そそくさと布団の片付けに入った・・・






朱雀の外宮-


繋ぎを付けた後、直ぐに焔が現れた。

内容を聞き、焔から正面門からでは無く、限られた者しか使わない別の入口から入る事を提案される…

別段不都合は無いので、瑠衣は焔に従う事にした……


「此方です」

秘密の入り口から外宮の中に入ると、そこは既に奥宮の中に入っている…
奥宮の一室に、代々の朱雀が集めた貴重な品々が保管されている場所があるのだ。


「主上のお許しは取ってあります故ご自由に…」

「そうさせて貰う」

瑠衣は巨大な宝物庫の中に入った。


入ると直ぐに自動的に灯りが点いていく…

辺り一面書物や武器、宝飾品などか所狭しと並んでいて、奥まで見通せ無い程広い。

「自分の時代よりごちゃごちゃしてるな…」

予想以上の散乱状態、これは探すのに骨が折れそうだと思う。

幸いこれらの貴重品を守る為に、時間の操作がされていて、宝物庫の中は時が止まっている、神の力の成せる技の一つ…
だから幾ら此処に居ても時間が進む事は無い。


「まぁ気長に探すか…」

時間を気にしなくて良いのだから…

瑠衣は書物関連が密集している場所へと向かった・・・・
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