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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第18章 "陣"


「これなら名が無くても"鬼"を集め、好きな所に配置する事が出来る…」

一度あった不自然な"鬼"の密集、それがこの香の効果だとしたら納得出来るのだが…


「ん?
"鬼"から身を守る方法??」

符を一枚…
術式を書いた物を、その身に身に着ける…
古くからある守り御札の類なのか…

今の神社仏閣の御札の効果は怪しいが、これは正式な術式
書物には術式が正確に書かれてある。


「これを隊士達に持たせれば上級以外なら"鬼"を近づけさせないで済むけど‥」

問題は材料と、どの程度力を入れるか…
儚い人間に、強力な力は逆に毒となる、自分に取っては加減というものが一番難しい事なのだ。


「後は、あの八陣結界…」

正ではなく邪…
流石にこの書物にも、そんな術は載ってはいない…

何故結界が必要か…

何の目的なのか…

今だに、そこだけは謎のままである。


「京の外れは捜索してない…」

逆にその様な場所に、結界の媒体があるかも知れない…


「一度探りたいな…
今度の非番に抜け出すか‥」

外れればそれで良し、もし当たれは儲けもの…
瑠衣は机から離れ、書物の整理を始めた(だいぶ散乱させたので‥‥)



宝物庫から出て、例の裏口から外宮を出る…
宝物庫の時のお陰で、そんなに時間は経っていない。

「・・・お土産買って返るかな…」

ふと思い付き、甘味処に足を向ける‥が…

甘味処そう思い歩いていると、ふと小間物屋に並んでいる髪紐に目がいった。


(そういえば髪紐無くしたんだった…)


今結っている髪紐は総司からの借り物、何時かは購入しなければと思いながら、すっかり忘れていた。

瑠衣は小間物屋に入って髪紐を見る…

「意外に色んな色が有るんだな」

予想外の種類の多さにどれにしようか迷う…
そこに色違いの綺麗な髪紐が、二本寄り添うように置いてあった…

思わず手に取って見てしまう…

「お客はん、お目が高いどすなぁ、それは有名な小間物細工の方が作ったお品なさかいに…」

確かに他の髪紐と違って、作りはしっかりとして、編み目も綺麗に並んでいる、その分値も張るが…

だが、今の自分の持ち合わせならば十分間に合う……
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