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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第18章 "陣"
「おおきに…」
瑠衣はその二本と普通の髪紐を数本購入して、小間物屋を後にした。
そして本当に甘味処でお土産用にお団子を買って帰路に着いた…。
「瑠衣がお土産なんて珍しいですねぇー」
そう言いながら、総司はしっかりとお団子を頬張っている…
「まぁ‥
ついででしたから」
総司に渡す前に、炊事場で源さん達と原田達にもお団子を分けてはいるが…
「???
そういえば出掛けていたのでしたね?」
「えぇ、少し調べ物をしに朱雀様の外宮に行ってました」
「外宮ですか?」
「はい」
総司はお団子を片手に首を傾げている…
「変ですか?」
「いえ、ただ意外だなと思いまして」
「意外??」
今度は瑠衣が首を傾げる…
「避けていたでしょう?」
相変わらず鋭いというか、良く見てると思う…
「はぁ・・・
お説教は聞きたく無いですから……」
「ぁはは…
瑠衣らしい理由ですね」
何時の間にか、お団子の皿が空になっている…
相変わらず甘味の無くなる早さと言ったら…
「らしいですか?」
「えぇ、あまり朱雀様の一族に近づか無いし、隊務で水晶を運ぶ時も何時も渋々という顔してますよ」
「あー
顔に出てましたか・・・・・」
「しっかりと」
ケラケラと笑っている総司…
瑠衣はかなり渋い顔をしているが……
「最近表情出過ぎですかね…」
「良い事じゃありませんか?」
瑠衣の表情の違いと言っても、総司にしか分からない部分も多分にある。
ほんの些細な違いしか無い事も有るからだ…
総司だからこそ見分けられる…そういう感じもまだまだ多い・・・
「良い事ですか??」
「えぇ、ちゃんと感情があるって事ですよ」
「はぁ…まぁ…
前よりは感情がある…
とは思いますが…
自分的には分からない部分も、まだまだありますから…」
「分からなければ、覚えていけば良いのですよ」
「・・・・・はい」
まだ予想外に時間はある、総司の言う通り人の感情を覚えていけば良い…
それが自分にとって、どういう変化が出るかは未知数だが…
瑠衣はちょこんと総司の側に座り‥
「では、総司をお手本に頑張りますね」
そう言って笑い出した。・