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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第18章 "陣"


非番の夜-


心中で謝りながら、眠る総司に眠りの術式を使い(それも強力に‥)、瑠衣はこっそり屯所を抜け出した。


目的は京の外れ・・・

瑠衣は屋根の上をポンポンと飛び走る。


(街外れの一つは外宮に繋がる、多分その場所には当たりは無い…)


実際外宮の裏から入った時、それらしき気配や力の流れは感じ無かった

第一、外宮やその周辺に何か細工などしたら、直ぐに感づかれる、それだけ外宮の結界網は強い。


(と言う事は反対方向…)


結論的に瑠衣は外宮とは真逆の方向に向かっている・・・





街外れ…


人気も建物も無く、見渡せば鬱蒼とした森が口を開けて手招きしているよう…

瑠衣は鏡を取り出し、光の反応を確かめた…


(やはり・・・・・)


鏡には多数の"鬼"の反応が一ヶ所に集まっている場所がある。


(予想は当たりか…
何だかの結界に関する事があれば…)


当たりがある事を祈りながら、鏡を手に森の中へと入って行く…
でなければ体力の無駄遣いになるからだ。


光を確認し追っている内に、気配だけでも"鬼"が追えるまでに近付いて来た…


(一体どれだけ集まっているのやら・・・)


近づくにつれて、やたら甘い匂いが鼻に付く…
独特の香木の匂い。


(此が香の匂いか…)


確かに"鬼"は香らしき物を中心として集まっている様に見える‥
多分、街中とは違い大量に香を置き配置しているのだろう、無作為に"鬼"を集める為に……

"鬼"が群がるその中心には枯れた様な井戸が一つ…


(兎に角、周りの"鬼"を始末してから井戸を調べて見るか)


やはり"鬼"が邪魔と判断し、朱桜刀を抜き"鬼"向かって"神足"で走り出す…!!


『ギャーー!!』


『グハッ…』


次々と"鬼"の心の臓を潰して行く瑠衣…
四半刻もした頃には、辺りの"鬼"は全て水晶と化していた。


「さて…」

瑠衣は香があるらしき井戸に近付いて、急に足を止める・・・


(結界!!)


井戸には結界が張られ、行く手を塞いでいた。

「どうするか…
解くか破壊するか…」

結界を解けば、相手にも此方に陰陽道を扱う者が居る事を知られてしまう。
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