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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第18章 "陣"


「外法…
禁術の一つですね」

「あぁ、本来世に出てはならない術…
まだあったとはな‥」

平安の世に外法は禁術として封じ込められた筈、なのに幕末に外法が存在している事自体がおかしい。


「何処かに外法を伝え守った裏の一族がいるのか、それとも封じられた物を解術したか‥」

どちらにしても、厄介なのには変わらない。

血と負の感情を力とし、術を形成してるのであれば、また人身御供を差し出せば幾らでも替えが利くという事だ…

陰陽道と外法…
合わせれば強い力になるらしい…
だからこそ封じ込められた、あまりに危険な為。

「主上や橘様は封じの場所をご存知なのですか?」

「いや、はっきりとは知らない…
ただ何ヶ所にも分けて封じたとは伝え聞いている」

子供の頃に習った事だ、多分当代様も同じだろうと思うが‥当代様は平安の世も生きている為、断言は出来ない。

「全て解術されたと?」

「そうは思って無い、しかし数ヶ所はやられている可能性はある」

一ヶ所もし解術に成功しても、術として機能しない様に分けられて封印されてる…

そう聞いている。

という事は最低でも数ヶ所は解術されたと見ていいと思う。


「兎に角その事を当代様に伝えて欲しい」

「心得ました
返事は早い方が宜しいですか??」

「なるべく早く情報が欲しい」

「分かりました」

承知とばかりに、焔は袋を片手に姿を消した。


(人の死に何の感情も持たない…
いや、喜びすら感じる奴…
そんなのが黒幕なのか・・・)


自分達も敵と見做せば人を殺す、だが皆殺した者の無念を背負って隊務に付いている。

決して好きで殺し合いをしている訳ではない、自分はそれを知っている…

皆屯所の中では何事も無かったようにしているが、内心は悲しみや後悔の心を持って己の信じる道を進んでいるのだ。


「嫌な相手だ…
自分でさえ人を殺せば後悔の感情があるのに…
其奴には無いのか?」

複雑な顔をしながら、また屯所に向けて足を運ぶ…

屯所に着く頃には、今遭った事を隠す様に瑠衣は無表情に近くなっていた。


(さて…
適当な塀を乗り越えて中に入るか‥)


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