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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第18章 "陣"
屯所内の気配を慎重に探り、誰も居ない場所を見付け塀を乗り越え中に入る。
後は自然を装い自室に戻るだけ……
「意外に遅かったですね‥」
総司は起きて布団の上に居た、眠りの術式の効果が切れたのだろう…
大体総司には、眠りの術式の効果は半減してしまう、ずっと使い続けたせいだ。
「…起きて…
居たんですか?」
すまなそうな顔して瑠衣は言う。
「目が覚めたのは先程です…
瑠衣はずっとどちらへ?」
何となく総司の怒りの感情が伝わって来る。
「勝手に出たのは謝ります…
でも、どうしても確かめたい事があったんで…」
大刀と脇差しを置き、瑠衣も総司の布団の隣の布団の上に座った…
「理由より・・・・・
何故一言言ってくれなかったのですか??」
「…言えば総司の迷惑になると思って…」
総司は瑠衣の腕を引き、自分の胸に抱き締める。
「馬鹿ですよ…
誰も迷惑なんて思っていませんし、瑠衣が何をするのも自由です、ですが…」
「ですが?」
瑠衣は恐る恐る顔を上げて総司を見る…
「ですが、こんな…
私を眠らせてまで隠さなければならない事なのですか?」
要は強制的に眠らせてまで、自分に隠し事をした事に怒っているのだ。
「総司…すみません…
確証が無い曖昧な事柄だったんで…」
流石に総司の異図に気づき、バツの悪い顔をする
「私に隠し事は無しですよ?」
「・・・・・はい…」
瑠衣はしゅんと俯いてしまう…
今回は全面的に自分が悪い…
決して隠すつもりでは無かったが、結果的にそうなってしまい総司を傷つけた…
「・・・・・瑠衣…」
「…はい…」
「もう隠し事は嫌ですからね?」
「分かりました…
今度からはちゃんと言います‥」
「えぇ…」
総司は瑠衣の顎をそっと掴み上を向かせ、その唇に自分の唇を重ねる…
「総司…」
「私が不安なのです‥絶対ですよ…」
そう言い、もう一度接吻をする…
「総…司…んっ…」
接吻を繰り返し、総司はゆっくり瑠衣を押し倒す…
「瑠衣…」
「あっ…総‥司……」
触れる唇が体が総司の熱が、心地よく温かくて癒される…
互いに互いの温もりを求める二人…
二人の自室は、明け方まで灯りが消える事は無かった・・・