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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第19章 "縛"
屯所に戻った後、土方に捕縛した浪士を渡した。
「ほぉ、珍しく捕まえて来たか」
土方はまだ気を失っている浪士を蔵に連れて行けと指示を出す…
此処からは土方と監察方の仕事になる・・・
要するに拷問…
多分あの浪士の命は無いだろう。
「斬り倒した浪士の後始末、監察方にお願いします、では私達はこれで」
「あぁ、ご苦労だった」
土方は監察方に指示を飛ばし、総司と瑠衣は血を流しに井戸へと向かう。
「冷たい…」
井戸の水で顔や手に付いた返り血を洗い流し、手拭いで拭いている。
「他に付いていませんか?」
「えぇ、大丈夫ですよ」
お互いの顔や腕を見て、血が付いていないか確認する。
「後はさっさと着替えしてしまいましょう先生」
「そうですね、そろそろ夕餉時ですし」
そんな事を言いながら、井戸から自室に歩き始める二人…
此が日常…
此が新撰組なのである。
次の非番の日ー
通常隊務なので瑠衣は朝から目が覚め、しっかり朝餉を取り、偶には街に出ようかと思い自室で着替えている。
一応寒いので着流しに羽織の姿‥
最後に大刀を持とうと思ったが、折角の非番なのでそのまま残し部屋を出る事にした。
(別に持たなくても呼び寄せられるし…)
そう思い身軽に屯所を後に、街中へと足を延ばした・・・
京の街中ー
相変わらず街は往来が激しい…
瑠衣は何かめぼしい物は無いかと、店先をチラチラ見ているのだが…
(あぁ、なにか良い書物が無いかな??)
山南の部屋の書物で、自分の気になる物はあらかた読んでしまった。
めぼしい書物を探しに、瑠衣は更に街を歩く…
京の街でも書物関係を売っている店はそう多くは無い(大概は貸本屋)、前に山南から教えて貰った店に向かって、ひたすら歩く事に…
「あった!」
少し先に書物を扱った店が見える…
この場所が山南に教えて貰った場所、瑠衣は躊躇いも無くその中に入って行った。
「すみません」
「へぇ、いらっしゃい…
若いお客様は珍しいどすなぁ」
「山南さんから教えて頂きました、此方に良い書物があると聞いて来たんです」
「ほぉ山南はんから、ほなどうぞゆっくり見ていっておくれやす」
「はい、そうさせて頂きます」
瑠衣は広くも狭くもない店の中を、ゆっくりと見始めた。