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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第19章 "縛"
店主は椅子に座り、うたた寝を始めてる…
ゆったりとした時間が流れる店の中をぐるっと見回し、自分好みの書物を探し始める。
物語とかには興味は無い…
武術・薬術・貴重な外国の書物…
確かに山南が太鼓判を押して教えてくれただけあって、かなり良い書物が揃っている。
瑠衣は薬術関係の書物を手に取る…
中を見ると薬学関係の薬草の調合などが、絵付きで記されている。
(結構面白いな…
もう廃れている調合法なんかもあるし…)
一つ見付けると、色々と面白い書物が見つかっていく……
流石に全て買える金子は無い…
中から先程の薬学の書物と武術の書物二冊を選び、うたた寝している店主に近付いた。
「すみません、これ欲しいんですが」
うたた寝していた店主は目を覚まし、瑠衣が持って来た書物を見る…
「これはまた興味深い選び方をしますなぁ」
そう言いながら書物を紙に包んでくれる。
「流石山南はんが教えおった方や」
「いえ、自分の趣味も相当変わっているとは思いますよ」
店主は包んだ書物を瑠衣に渡し、瑠衣はお金を支払う。
「おおきに…
兄さんなら何時でも大歓迎や」
「ありがとう御座います、時間が有りましたらまた来ます」
そう言い瑠衣は書物片手に、ご機嫌で店を出た・・・
大通りを歩いていると斎藤率いる三番隊に出くわした。
「あ…
斎藤さん」
斎藤も此方に振り向いた…
「橘か、今日は非番か?」
「はい、山南さんから教わった書物を買いに出て来ました」
自分の指で小脇に抱えている書物を指している。
「なる程、書物が好きだったな…」
山南から書物を借り捲っていると、瑠衣の書物好きは組内でも有名になっている程…
「えぇ、薬学と武術関係の書物が三つ程、良い買い物でした」
「そうか」
瑠衣の書物を包んでいる袋を見て、斎藤は満足そうに頷いている…
「で、此からどうするのだ?」
「もう少し街を見てから戻ります」
「そうか、俺は巡察中だからもう行くぞ」
「はい、頑張って下さい」
斎藤は片手を上げながら、巡察中の平隊士と合流して続きを歩いて行く…。
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