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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第19章 "縛"


「さて…
今度は何処を見ようかな??」

瑠衣が興味がある物はそう多くは無い…

生活品は組の支給で間に合っているし、着物とかにも興味が無い。

甘味って訳でも無く、勿論島原とかは論外だ。


「髪紐はこの間購入したし…
後必要な物あったか?」

相変わらず店先を見ながら、ただフラフラと歩いている・・・



当てもなく瑠衣がフラフラと店先を歩いていると、急に一人の女から声を掛けられた。


「???
どなたですか?」

「その節は大変お世話になりました…
覚えいないかも知れまへんが、この間浪人達に絡まれている所を助けて頂いた者どす」

そういえば前に昼勤をした時に、女を助けた覚えが…
確か送ると言ったのに、制されて一人で街中に消えて行った不思議な女・・・・・

「あぁ!
はい、あの時の‥あれから大丈夫でしたか?」

「へぇ、あれからは何事も有りまへん」

女はお香と名乗った…

「お香さんですか、自分は橘と言います」

「橘はんどすか?」

「はいそうです
どうですか、こんな所で立ち話も何ですから甘味処にでも行きませんか?」

本人タラシという自覚無し・・・

それが瑠衣らしいが・・・・・


「へぇ、喜んでお付き合いします」

お香も瑠衣が新撰組だと安心してなのか、誘いに気軽に頷く…

「では行きましょうか」

「へぇ」

二人は街中の甘味処へと足を向ける…

近くの甘味処に入った瑠衣とお香、適当に注文すると、瑠衣はお改めて香を観察し始めた。


(別段何処にでも居る普通の感じだな…
まぁ度胸は座っているみたいだが…)


ある程度見ると、変に思われては困ると瑠衣は口を開いた。


「前に助けた時も確かこの辺りだったですよね、お香さんの家ってこの近く何ですか??」

とりあえず取り留め無い所から始める事にした瑠衣…

「へぇそうどす、近くの小間物屋で働いてます」

「そうなんですか、てっきり何処かのお嬢さんかと思いました」

「お嬢さんなんて、そんな大層なもんやおまへん…
住み込みで働いているただの小間使いどす」

「それは‥大変な苦労ですね」

そんなたわいもない話をしていると、店の女将が注文した品を運んで来た。
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