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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第19章 "縛"
「お香さん???」
「…橘はん…」
いきなりお香は瑠衣に抱き付いた!
「なっ…
お香さん!?」
「橘はんは‥うちが嫌い?」
お香の両腕が、瑠衣の首に妖しく巻き付く…
「いや、そういう意味では無く…」
「ではどういう意味どすか?」
その時・・・
『チクッ…』
首に微かな痛みが走る・・・・
「!!??」
痛みを感じた瞬間、お香は咄嗟に瑠衣から離れた。
(薬か…)
直ぐに針か何か打たれた事に気づくが、時既に遅し……
「…お前…何者…」
急に強烈な眠気と痺れが体中を襲う。
「ふふふ…
やっと捕まえた」
「・・・・・忍‥か・・」
ガクッと瑠衣の体が崩れ落ちる…
幾ら毒や薬に強くても、直ぐに体内から消せる物ではない……
「…くそっ…」
そこで瑠衣の意識は完全に途絶えた・・・
神社らしき建物の一室ー
「主…」
相変わらず主と呼ばれる男は振り向く事はせず、結界陣を眺めている。
「星光か、どうした…」
星光と呼ばれた女の忍…
「橘瑠衣を捕らえました、そして例の者達に渡しました」
星光…お香である。
「そうか…
上手く情報を引き出せれば良し、でなければ生死は知らぬ」
「はい、私もこれ以上は手を出しません、後はあやつらがどうやるか次第です」
「それで良い…」
「はっ!」
星光は姿を消した。
「くくく…
新撰組‥どう出るか…」
男の笑い声だけが室内に木霊する・・・・・・・
どの位気を失っていたのだろう…
瑠衣は漸く目が覚めた。
『ジャラッ』
両手両足を鎖で繋がれ、二本の柱の間に括り付けられている。
(くそっ…
しくじったな…
あの女、始めから此が狙いだったか…)
あの、お香と言う女‥いや忍か、これが目当てで自分に近づいた‥間違いは無い…
瑠衣は渾身の力を込めて鎖を引き千切ろうとする‥が!
(!!!???)
幾ら鎖を引き千切ろうとしても、鎖はビクともしない。
(まさか‥鎖に術式!?
不味いな、術も力も使えない・・・)
どうやら鎖自体に、力封じの術式が込められいるらしい、自分の力でも千切れ無いのだ、怪力大男でもムリだろう…
良く見ると、鎖や手首足首を繋いでいる輪にも繋ぎ目が一切無い…
一度使用すれば、一生切られる事が無いように術が掛けられている。