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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第19章 "縛"
瑠衣が姿を消してから七日程過ぎた・・・
山崎達監察方が必死に調べているが、瑠衣は一向に見つからない。
探し始めて二日目に、斎藤が会った場所の近くの大通りから一本外れた道で書物が見つかった。
斎藤が言っていた通り、薬学と武術の三冊。
山南に聞いて、書物が売っている店の店主に話を聞いたら、やはり瑠衣らしき人物が書物を購入していた。
それと、斎藤が出会った近くの甘味処で、その辺では見かけない女と瑠衣が一緒に居た事も確認されている。
だが、女も瑠衣も一向に見つからない…
十中八九何かに巻き込まれた可能性が大きいのだが……
土方もこれにはかなり頭を悩ませている・・・
もう一つ、見るからに総司の元気が無い…
隊務は普通にこなしているが、瑠衣に会う前の総司に戻った感じがある…
不逞浪士を命ごいをする者まで斬り捨ててしまう‥"人斬り沖田"に戻った、そんな感じである。
それが幹部達の不安の一つでもあった・・・
総司は今日は自室で書類整理をしている。
何時もならブツブツ言いながらも瑠衣がしていた仕事・・・
筆を取りただ黙々と書類整理をする総司…
そんな中、井上が総司の部屋にお茶を持って来た。
「総司入るぞい」
そう言い部屋に入る井上…
「総司、少しは休んでお茶にせんかね」
総司は文机に筆を置いて、井上の方に向き‥
「源さん、すみません頂きますねー」
にっこり笑い、井上からお茶を受け取り一口飲む。
「ぷはぁー!!
寒い日は源さんのお茶が一番ですねぇー」
ニコニコと笑いお茶を飲む総司…
試衞館時代から総司と付き合いがある人間は、今の総司の笑顔が作り物だという事を知っている。
辛ければ辛い程、作り笑いで相手を誤魔化す…
平隊士ならば間違いなく総司の作り笑いは見抜け無いだろう。
それだけ完全に総司は心を内に隠してしまう…
"人斬り沖田"そう呼ばれる様になった頃から、総司は心を内に閉じ込めるようになった・・
近藤達も、総司のその変化に心痛めていた…
"人斬り沖田"を作り出したのは他でも無い自分達なのだから・・・
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