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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第19章 "縛"
瑠衣が来て暫くしてからは、そんな事は殆ど無くなった、瑠衣が総司の心開いた、そう思い幹部連中は皆安心していた。
だが瑠衣が消えたたった七日間で、元の総司に戻ってしまっている…
井上も少々辛そうに総司を見ている。
「はぁー
ごちそうさまでしたぁー
源さん、ありがとう御座います」
そう言い井上に湯のみを返し、総司はまた文机に向かい筆を取り書類整理の続きを始めた。
「お茶飲みたくなったら何時でも来るんだぞ」
そう言って井上は部屋から出て行った。
「・・・・・・・・・・」
井上が部屋から出たと同時に総司の筆が止まる…
そして障子を少し開けてボーっと外を見る…
(あれから七日…
瑠衣は何処へ…
また私は何も出来ないのですか??)
いつの間にか、部屋に居る時は瑠衣の刀を側に置く癖が付いてしまった。
何故か、瑠衣が側に居るようで離せない…
(私はどうしたら…)
総司の悩みは尽きない・・・
血と汗と男達の欲望の跡の中、瑠衣は声を出す事すら殆ど出来ない状態になっていた…
今日も男達の拷問と欲望が瑠衣を苦しめる。
もう何日過ぎたのか…
今が朝なのか夜なのか…
それすら曖昧に時は残酷に過ぎてゆく…
いつぞやに縛られた麻縄は、今は見る影も無く赤黒く変色している…
血も床に流れて血溜まりが出来、頬は腫れ、体中の傷は絶え間なく血を流がして止まる事を知らない…
今も男達の一人が瑠衣を蹂躙している…
既に感覚なんか無い…
ただ男達のやる事を、朦朧した意識で見ているだけ……
その屋根裏に男が一人居るのに誰も気付かない…
(何て事や…
悲惨過ぎるで…)
男は…
山崎である!
数少ない情報から、やっとこの場所を見つけ出した。
(副長にどう報告すべきや?
いや、その前に沖田はんにどう説明しよ…)
今の瑠衣の状態を総司に話せば、確実に暴走いてしまう。
副長に報告する際、瑠衣が女だと言わなければ辻褄が合わない…
だが、一刻も早く助けなければ、瑠衣の命もその心も危ないのは目に見えている。
少人数なら自分一人で何とかなるが、気配からして二十人は確実に居るので簡単には手が出せない。
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