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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第19章 "縛"
兎に角山崎は屋根裏から出て、屯所に向けて全力で走った。
足の早い山崎である、半刻も経たずに屯所着く…
取りあえず土方の部屋に、屋根裏から顔を出事にした。
「副長・・・・・」
書類整理をしていた土方が山崎の声で上を向く。
「山崎か…」
「はい」
さっと下に降りて、土方の後ろに座る‥それが何時もの定位置。
「捜索はどうだ?」
「それが・・・・・」
山崎は何時に無く言い難そうにしている。
「何か進展があったんだな?」
「はい…
話の前に沖田はん呼んで貰えませんやろか…」
「総司?
…分かった」
疑問に思うも、近くを通り掛かった平隊士に、総司に此処に来る様に言付けする土方…
山崎の方は何時に無く青い顔をしている。
暫く山崎の顔を見ていた土方だったが、総司が来る気配に障子の方に振り返った。
「土方さん、沖田です」
「あぁ、入れ」
障子が開き総司が中に入って来る。
「あれ?
山崎さんも居たのですか??」
障子を閉め、一…二歩歩いた所に総司は座る。
「さて、山崎報告を聞こうか?」
「・・・・・」
山崎は中々答えない…
「山崎さん?」
総司も怪訝な顔をして山崎を見ている。
暫くして山崎の深い溜め息が聞こえた・・・
「はぁ―――っ…
どっから話せば良いんやろか…」
どうやら話す順番を考えているらしい…
「山崎、お前らしく無いな…」
土方の眉間にシワが寄る…
「兎も角橘、見付けました、ただ…」
「ただ??」
総司の中に不安がよぎる…
土方も複雑そうだ。
「この七日間拷問にあって、酷い有り様でした・・・」
「「・・・・・」」
言葉が出ない総司と土方…
「沖田はんは分かってる筈やけど、副長……
何見ても驚かない、そう約束してくれまへんか?」
「どういう事だ?」
山崎の不思議な発言に首を傾げる土方。
総司の方は山崎の言葉を理解したらしい、だがその手は白くなるまで握り締めている…
「向こうの敵は二十人程、警備はそんなん堅くない間取りは四つ、橘が捕まっている土間が一番奥、その前に部屋が三つ続き部屋になっとる…
向こうもかなり油断しとるし、多分沖田はんと副長とわてで何とかなる範囲や」
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