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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第19章 "縛"
「総司考えるのは後だ、まずは橘の手当てが先だ!!」
総司も我に返ったのか、慌て山崎の方へ向かう。
山崎は山崎で渋い顔をしている…
「山崎どうした!?」
「それが…
切れんのや…」
鎖を指差し困った顔をしている山崎…
「繋ぎ目も何も無い…
鎖を無理やり壊そう思ったらこれや」
自分の忍刀を二人の前に差し出す、忍刀は刃が真っ二つに折れている。
「なっ…!!」
「切れない??」
「そや、何処探しても繋ぎ目も何も無いねん…」
つまり鎖が切れない、切れなければ瑠衣を助けれない…
途方に暮れる三人・・・
その時瑠衣が微かに動いた。
意識を保つだけでも精一杯だろうに…
掠れた声で一言…
「・・・脇‥差し・・・」
そう呟いた……
「「「脇差し??」」」
三人は瑠衣の言葉の意味を考える…
「…っ!!!」
総司は瑠衣の意図に気が付き、急に自分の脇差しを引き抜ぬいて、鎖に突き刺した!!
「「?????」」
土方と山崎は、総司の突然の行動にただ驚くばかり…
『パリーン!!』
その時、総司の突き刺した場所の鎖が音を立てて壊れた!!
「「!!!!!」」
総司は他の三つの鎖にも脇差しを突き刺す…
『パリーン…パリーン…パリーン…』
全ての鎖を切り、瑠衣の体がぐらりと傾く…
総司はそれを上手く受け止める。
「橘!!」
「大丈夫か!?」
鎖を切ったと同時に、両手両足の輪も外れている。
「どうなっとんのや??」
「俺にも分からん…」
何となく納得出来ない二人…
その間に総司は山崎が掛けていた着物を手早く着させ、瑠衣を抱き上げた。
「兎に角傷の手当てが先でしたよね?」
その言葉に、ふと我に返る二人…
「その傷じゃ、此処では無理や、急いで屯所に戻らんと」
「あぁ…
後始末なんざ言ってられねぇ、早く屯所に戻るぞ!!」
三人は血の海の家を後にし、一目散に屯所へと急いだ・・・・・
屯所に戻り、傷に触れない程度に湯に付け‥勿論総司が中、無い事に土方が風呂の前で見張りをしていた…
山崎はその間に、包帯だのさらしだの薬だのど用意に奔走している。
瑠衣を自室に寝かせ、総司と土方は治療する山崎の邪魔にならないようにと、一旦外に出た・・・
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