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木之花ノ夜想曲~夢語り~
第19章 "縛"
「沖田はん、橘・・・・・・・・」
障子を開けて入ろうとしたが、山崎は二人の様子を見て暫し固まってしまう…
(…まぁ…
心配した事は無かったようやな…けどなぁ…)
この間に入って良いものか躊躇ってしまう…
総司の胸の中で眠ってる瑠衣、それに合わせ総司も眠ってる。
(どないしょう・・・)
そんな時、総司が山崎の気配を感じて目が覚めた。
「あれ?
山崎さん、そんな所でどうしたのですか??」
(どうしたも糞もあるかいっ!!)
山崎はガクッと肩を落として総司を見る…
「あんな…
障子開けたらいきなりそれは、吃驚するで……」
それと言われ、抱き締めている瑠衣の存在に気づく…
「あぁ…
離れて貰えなくて…
ぁははは…」
いきなりの総司の惚気に言葉が出ない山崎…
「はぁー…
そうだとは思うていたけど、いざ見せ付けられるとなぁ…」
取りあえず戻る訳にもいかず、障子を閉めて総司達から少し離れて座った。
「それじゃあ包帯の交換も出来ん…」
「そうですねぇ…
離せば多分起きて仕舞いますし…どうしましょう??」
「こっちが聞きたいわ……」
瑠衣は総司の腰にがっちり手を回し、全く起きる気配が無い。
「普段は人の気配だけで起きるのですけどねぇ」
「全然起きへんやんか…」
「大概くっつかれる時はこんなものですよ?」
「はぁー惚気かいな……」
もう半ば諦めている山崎、惚気も此処まで来れば目と耳の毒である……
「確証は無いですけど‥
多分大丈夫だと思いますよ」
「確証は無いってなぁ…」
其処で山崎はある事に気が付いた。
「そや‥
前に"鬼"の爪で左肩貫かれた事があっな?」
「えぇ、ありましたね」
総司は山崎の意図している事に直ぐに気付いたが、敢えて話を聞く事にした。
「昨日傷の手当てをした時左肩を見たが、傷痕一つ残って無かったんや…
普通なら一生残る傷痕やであれは…」
あの傷で十日も経たない内に竹刀を持ち、斎藤に勝っている。
「…そうですね、普通だったら傷痕が残るのでしょうね…
私は彼女が普通の人より傷の治りが異常に早いくらいしか知りません」
瑠衣の正体は知っていても、実際それが瑠衣の体にどう作用するのかは正確には知らない。
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